小説 | 天才少女ルナの物語②
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「これは女神ビブリオン・モーヴだ」
ソフィアは興奮していた。
こんなに遥か昔からビブリオン・モーヴがいたなんて。
ソフィアは自分の持つすべての知識を動員して、ビブリオン・モーヴという女神の発祥がここオークニーだとしたら?、という仮説をたてた。
すると、後世のギリシア・ローマ世界とヨーロッパ世界との間の、失われた歴史のピースが次々と埋まっていくのだった。逆にこれほどうまく説明できるのが怖いくらいであった。
「いや、ちゃんと検証しなくちゃダメだ」
ソフィアは独り言を言った。
オークニーがこの女神の発祥の地であるなんて、今の今まで誰も考えたことがない。
仮にこの仮説が正しかったとしても、膨大な発掘とその検証が必要なことは火を見るより明らかなことだった。
「お母さん、どうしたの?やさしそうな顔をしたり、急に怖そうな顔をしたり」
ルナは不思議そうな表情を浮かべながら、ソフィアに言った。
「あはは、ルナのお陰よ。ママね、すごい発見しちゃったかもしれないの」
「ふ~ん、そうなんだね。ママ、ここに書いてある文字もカワイイよね?」
ルナの視線の先にあったのは、土器に刻まれた幾何学文様だった。
「ルナ、これは文字じゃなくて、飾りなのよ。きれいな絵でしょ?」
ルナはガッカリした表情を浮かべた。
「えっ、絵なの?ルナには文字にしか見えなかった。ほら、ここ見て、お母さん。『僕とお姉ちゃんは海へ泳ぎに行きました』って書いてあるよ」
ソフィアは驚いた。もし、ここに「書かれて」いる内容をすべて解読できたら、それこそ大発見だ。
「ルナ。お母さんに、ここに書いてあることを、ぜんぶ教えて教えてくれないかな?」
「いいよ、お母さん。じゃあ、ルナのこれから言うことをよく聞いててね」
ソフィアはルナの天才に、賭けてみたくなった。
…つづく
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