ギャグゲリラ的歴史年表
「ギャグゲリラ」。
1972年から1982年まで、赤塚不二夫が連載した時事ネタをギャグにしたマンガである。
その10年間全520本から69本を厳選したものが、ヘッダーに掲げた文春文庫である。
この文庫本は、書かれた年のマンガの前に、略年表が掲載されている。
教科書の年表とは異なり、いわゆる三面記事的な「事件」が、コンパクトにまとめられている。
1981年のギャグゲリラの年表は次のようになっている。
(*赤塚不二夫、「ギャグゲリラ傑作選」、文春文庫、2009年、p366から引用)
1981年
ギャグゲリラ的重大ニュース
★関西発祥といわれる「ノーパン喫茶」が流行。のち84年の風営法改正により姿を消した
★2月、ローマ法王ヨハネ・パウロII世来日。広島で平和アピールを行なった
★一橋大学生・田中康夫(のちの長野県知事)の小説『なんとなく、クリスタル』がミリオンセラーに。高級ブランドの名前や店名が頻出し、それらに対する詳細な註がついている、という斬新なスタイルが賛否両論を呼んだ
★5月、フランソワ・ミッテランが仏大統領に就任。以降2期14年にわたり、EUへの過渡期にある同国を牽引した
★角界にウルフ・フィーバー巻き起こる。関脇・千代の富士は初場所で北の湖を優勝決定戦で下し初優勝、大関昇進。夏場所後には横綱に昇進と一気に花開いた。以降、91年の引退まで31回の優勝を重ねる
★鈴木内閣のもと第2臨調設立。
会長は"メザシの土光 "こと土光敏夫。三公社民営化など「行革」の流れを作った
★猫に暴走族の格好をさせた「なめ猫」のブロマイドが、"なめんなよ"のキャッチフレーズとともに謎の大ヒット
[感想]
こういう年表は面白い。もちろん、学校でこのような年表を使え、というわけではない。しかし、学校の勉強から離れた大人なら、三面記事からその時代を振り返ることは、とても意味のあることだと思う。視点を変えると、新しい発見がある。
教科書で学ぶ歴史は、政治的な出来事のあとに、その時代の「文化」をまとめて教える場合が多い。「文化」の流れから、政治的な出来事へ、という学びかたも面白いのではないだろうか?