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令和の米騒動

 米の価格が高騰しています。いろいろな記事を読んでみましたが、原因は特定出来ません。
 この記事では、米価格の高騰のニュースを聞いて、私が思い浮かべたことを書いてみます。
 あらかじめ言っておきますが、十分な実証的なデータを私は持っていません。それゆえに、あくまでも「エッセイ」という形で書きます。理論的に考えうることを書くつもりです。


需要供給曲線


 中学生の頃に学んだ需要供給曲線を思い出してください。

市場では
最適な価格と数量は
需要曲線と供給曲線の
交点で定まる。

 経済学的に言えることは、価格が上昇するのは、大きくわけると、
①商品の需要が高まった場合、
②(限界)生産費用が上昇した場合、
③市場(しじょう)に出回る供給量が減少した場合

いずれかですね。

①の場合は、需要曲線が上方にシフトすることで起こる価格上昇、
②の場合は、供給曲線が上方にシフトすることで起こる価格上昇、
③の場合は、供給曲線が左側にシフトすることで起こる価格上昇
です。


需要供給曲線のシフト


需要供給曲線でかくと、次のようになります。

①の場合

需要の高まりによる
価格上昇

②の場合

生産費用の上昇による
価格上昇

③の場合

供給量の減少による
価格上昇

3つの場合について考える


①の「(新たな)需要が高まった」ということは、私には考えにくいことです。
もちろん、今回の価格上昇に「需要拡大」は寄与しているかもしれませんが、これほどの高騰を引き起こすほど、急激な需要の高まりがあったとは、考えられません。

②の「生産価格の上昇による米価格の高騰」はどうでしょう?
確かに、原油などの物価上昇により、米の生産費用が増大したということはあり得ます。
 しかし、やはりそれだけでは、今回の米価格の高騰は説明できないでしょう。
米以外の日用品の価格上昇はありますが、米の高騰のような急激な上昇ではありませんね。

③の供給量の減少が、私はこの中ではいちばん説得力があると考えています。市場以外の取引により、流通するコメが減っているのでしょう。げんに、去年(2024年)の生産量自体は減少していません。どこかで流通が滞っていると考えるのが自然です。


国内米に代わるものはあるか?


 一般的に、理論経済学の「需要・供給」分析では、どんな商品でも無差別に扱います。
 たとえば、国内の米が上昇したとしても、それに代わる輸入米があるならば、そちらを購入すれば良いですね。早晩、米の価格は落ち着きます。
 また、米ではなくても、パンやパスタのような米に代わるものがあれば、米の高騰も長続きはしないでしょう。
 ですが、パンやパスタは小麦が原料であり、その多くは輸入に頼っています。

 円安がつづくなかでは、相対的に外国商品の価格は高くなり、輸入米にせよ、パンにせよ、国内米の「代用品」になるものは多くありません。


後書き


 軽々なことは証拠がないので言えないのですが、今回の米価格の高騰は「米の先物化」によるものではないか、と私は思っています。

 歴史を紐解けば、日本の米は、江戸時代から先物商品でした。
 1990~2000年頃にかけて、「デリバティブ」という言葉が人口に膾炙しましたが、デリバティブの一種である「先物取引」は、世界史的に見ても、江戸時代・堂島市場がその先駆けです。

 日本では「石高」が大切でしたね。米には「カネ」、「価値尺度」としての重要性が、いまだに根強いのではないでしょうか?

 米は「食料品」でありながら、「金」(きん)と似たような役割を備えています。他の農作物に比べれば、年単位の長期保存が可能ですしね。

 この記事では、理論的に米高騰について考えてみました。
 原因がなんにせよ、米が実際に消えてなくなったとか、大量に廃棄されたわけではないでしょう。とすれば、市場に出回るべき米は、どこかに貯蔵されています。「どこか」がどこなのかは、確定的にはわかりません。ただ、いずれにせよ、本来の「食べる」という米の価値以上の何かが、この問題の根っこにはあると思います。


https://www.jpx.co.jp/dojima/ja/index.html


ヒックスの著書(↑)には、「堂島」について触れた箇所があります。


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