連載小説 | 蜘蛛の糸②
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蜘蛛の糸②
その頃、厠を出た仏は、ひとり恍惚感に浸っていた。
「長年、溜めつづけてしまったものをゴッソリ出せたようだな。ヨーグルトを注入することは下品かも、とも思ったが、何事も試してみるものだ。今思い返してみると、スポイトで注入するときの、あの背徳感は病みつきになりそうだな」
ふと気がつくと、日時計の針は正午を指していた。
「あ、そうだ。今日は地獄にいるカンダタにチャンスを与えてやる日だった。カンダタは極悪人だが、生前、1つだけ良いことをした。一匹の蜘蛛の命を救ったことがあったからな」
仏は地獄にいるカンダタへ蜘蛛の糸を垂らすために、蜘蛛を探した。しかし、いくら目を凝らしても、蜘蛛の姿はなかった。
「あの蜘蛛、逃げちゃったのかな?しかし、いつ逃げたのだろう?」
仏は思案し始めた。
「あぁ、私が油断したのは、厠にいた時だけだ」
仏はロココ・ボットン式の厠へ急いだ。やっぱり逃げたのか?
「仏の千里眼をなめるなよ!」
仏は自らのモノを落とした穴を凝視し始めた。
「あっ、孫悟空だ!」と気がつくと同時に、天界にいた蜘蛛を発見した。
下界では、蜘蛛が孫悟空の上に張られた封印のお札を剥がしたところだった。お札が剥がれると、孫悟空は「気」の力で山を吹き飛ばした。
「あぁ、ヒドい目にあった。これでようやく自由の身になれた。サンキューな、蜘蛛よ!感謝するぞ」
孫悟空は快哉を叫んだ。
「孫悟空さん、よかったですね。私のことを殺さないでくださいね」
蜘蛛は恐れながら孫悟空に言った。
「あぁ、俺も男だ。約束は必ず守る。それに、蜘蛛よ、俺はお前にはまだ用事があるのだ」
「用事とは?」
孫悟空は不敵な笑みを浮かべた。
「お前も仏に復讐したいんだろう。だったら、フュージョンを使うしかない」
蜘蛛には「フュージョン」の意味がわからなかったが、孫悟空の言葉に従ってみたいと思った。
…つづく
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