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読書 | 東野圭吾「クスノキの番人」(実業之日本社文庫)
先ほどエッセイを投稿しました(↓)。
実は東野圭吾「クスノキの番人」を読んでいて、脳裏に浮かんだことを書いてみたのです😄。このエッセイには、ネタバレはいっさいありません。しかし、ネタバレのまったくないものは、感想文にはなりません。
これから書くことには、ネタバレがあります。まっさらな気持ちで読みたいという方は、読み終わったあとにご覧くださるとありがたいです。すでに読んだことがある方は、ストーリーを思い出しながら読んでくださると嬉しいです😄。
久しぶりに未読の東野圭吾作品を読んだ。「クスノキの番人」。
主人公は玲斗。警察に拘留されているときに、弁護士が現れた。依頼主の言うことに従うならば、釈放されるように動くと。
弁護士を依頼したのは、主人公・直井玲斗のオバにあたる人物。面識はない。
月郷神社の「クスノキの番人」になるならば、弁護士費用及びその後の生活も保証するという話だ。
そこから物語が、「クスノキ」を中心に動き出す。クスノキの番人になった玲斗。
見習いのはずの玲斗は、クスノキについて何も詳しいことは聞いていない。クスノキを知る人々も、誰も積極的にクスノキの「効能」について語らない。
物語の後半になって、徐々に謎解きが行われる。読者である私は、主人公・玲斗と同じく、『「願い事・祈願」と「祈念」との違いとはなにか?』ということをずっと考えながら読んだ。そして、玲斗と同じように少しずつ「クスノキの番人」であることの意味を知っていった。
クスノキの力とはなにか?
なぜクスノキを訪れる人は、満月の日や新月の日を選ぶのか?
一般的な推理小説とは違って、殺人のような事件が起こるわけではない。しかし、クスノキの力とは何かという謎を考える推理小説として、物語の最後のほうまで読んでいった。
物語を最後まで読んだら、一応、私が読んでいて疑問に思ったことは「伏線回収」された。しかし、読み終わった後になっても、クスノキに本当にパワーがあるのかどうか判然としない。しかし、一般的にパワースポットと呼ばれる場所のパワーの源になっているのは、●の力かもしれない、と思った。
(💡 ●に入る漢字一文字は、敢えて伏せ字にしました。ネタバレになるかもしれないので。)
読後感は、爽やかなものだった。運命、宿命とはなにか?、非科学的なこころを感じるとはどういうことか?ということを少し理解できたような気がしている。
ラストシーンはさすがに引用できないが、最終盤へ向かう場面(p425)の言葉は印象に残った。
堂々と祈念したら、これまでの自分の人生に偽りや後ろめたいことは何もないって内外に示したことになる⎯⎯優美の言葉を反芻した。
普通に物語として読めば、主人公は直井玲斗である。だが、もしかしたら本当の主人公は「祈念」かもしれない。
ヘーゲル「精神現象学」は、「精神」を主人公とした「教養小説」である、と言われることがある。別に人物ではなく、「精神」や「祈念」という形のないものが主人公だと解釈しても、的外れではないだろう。
💡東野圭吾の作品には、やっぱりハズレがないなあ、という感想は今回も変わらず持って、「クスノキの番人」を読み終えた。
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