短編 | 立方体の思い出
「こんな公式覚えてもさ、何か役に立つことってあるのかな?円の面積を求める公式だの、球の体積を求める公式とかさ、意味ないよね。 頭の体操にはなるけれど、実生活じゃ使わないよね」
私が中学生の頃に思った最初の感想である。高校生になった今も同じ気持ちだなんて、成長してないな。
私の数学への恨みつらみを聞いたクイズの好きな太郎くんは答えた。
「いや~、必ずしもそんなことはないと思うよ。この前のクイズ大会の予選会で、球の体積の公式を覚えていたから、即答できたし」
「どんな問題が出たの?」
「まぁ、そのままなんだけどね。半径が3cmの球の体積として最も近いものは次のうちどれか?」
(ア) 100立方cm
(イ) 110立方cm
(ウ) 120立方cm
「まぁ、公式から暗算すると108よりちょっと大きいくらいっていうのはすぐにわかるよね☺️」
「いや~、円周率って3.14・・・って続く数字だから結構面倒じゃないかな?」
「公式をそのまま使うわけじゃないよ。近似値を求めるには、円周率って関係ないんだよ😄」
「どういうことだかさっぱりわかんないけど。。。」
「じゃあ、すこし解説するね。円周率はだいたい『3』だよね。少しだけ3より大きいけれど。ちょっと黒板を見てね」
「つまり、今の問題だと
r = 3 を代入すれば、
V = 4 × 3 × 3 × 3 = 108 と計算できる。
まあ、実際には円周率は3より大きいから、108より多少大きくなるけど、さっきの選択肢から選ぶなら、(イ)が正解になるね。電卓を使ってもう少し細かいところまで計算すると、だいたい113くらいになるよ」
「なるほど。日常生活なら、半径が r の球の体積は、同じ r という一辺の長さの『立方体』の体積のほぼ四倍ということか。。。」
「まぁ、日常生活では電卓をたたくけどね」
「球の体積は、その半径と同じ長さの一辺をもつ立方体のほぼ四倍か。。。」
(800字)
ショートショートというより、中学生の数学の時間のようなものになりました。
ちなみに、球の表面積を求める公式の直感的な考え方は次の記事にまとめてあります。興味がおありでしたら、ご覧ください😄。
まいどお馴染みの、たらはかにさんの企画に参加します😄。
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