『インドカレー伝』第3章「ヴィンダルー ポルトガル人と唐辛子」を実際に読まなくてもわかるアーカイブ【読書会を開催】
新しい試みとして、東京マサラ部オンライン内で『インドカレー伝』の読書会を実施していきます。今月はゴア月間ということもあり、まず第3章「ヴィンダルー ポルトガル人と唐辛子」を取り上げました。
まず章の概要や本書の立ち位置を確認した後、いくつかのトピックに分かれてそれぞれの担当者が発表、それを踏まえて議論をするという進め方で実施しました。ご協力いただいた準備班の皆様、ありがとうございました。
6/18(日)waccaでゴア料理実食付きワークショップを開催します。
ゴア料理の概要とレシピ解説をした後実食していただき、質疑応答や交流会となるイベントです。お土産カレーキット付き。
ゴア料理のことを知りたい方も、インド料理好きの仲間がほしい方も。初心者大歓迎です。
インドカレー伝とは
『インドカレー伝』はイギリス人の歴史学者リジーコリンガムによって書かれた本です。インド料理を西洋の視点からみてCurry(カレー)でまとめてしまっていますが、元々インドにあった料理が西洋やムガルの影響を受けてどう変化していったのかをグローバルに描いています。
食文化の変化は広い射程を持ち、人やモノの行き来によってお互いに影響を及ぼしながら双方向に進んでいくというのが本書の視点です。
以下、読書会で使用したレジュメです。
・内容を要約した後、関連するトピックを立てて担当者がレジュメを作成して発表、その内容をもとに自由に質疑応答やディスカッションをするという進め方です。1~6までに発表が分かれており、1-3が第1回の動画、4-6が第2回の動画に対応しています。一番最後にYouTubeビデオリンクがあるので、聴きながら読むと理解が深まります。発表が終わった後の後半のディスカッションパートがめちゃくちゃ面白いです。
・各発表のレジュメの後に、読書会の際にでたコメントやさらなる疑問点などを付け加えています。
・今後も毎月ペースでやっていきます。興味があれば「東京マサラ部オンライン」へご参加の上、読書会LINEグループへご参加ください。
1.『インドカレー伝』の視点
①本来インドにあった食文化が西洋(ヴァスコダ・ガマのインド航路の発見)や、ムガル帝国との交流[1]を経て、変化した過程に注目している。
②食文化の変化はインドだけで起きたわけでなく、交流があった諸外国にも影響をもたらし、西洋のまなざしとしてインドの料理=カレーの発明を促した。
③食文化が形成されることは、在来[2]・外来的[3]な要素が混ざりあい双方向に進むことを示している。
第3章 ヴィンダルー ポルトガル人と唐辛子 概要
・大航海時代以後に誕生したゴア・クリスチャン料理ヴィンダルーなどゴア料理に関する章である。
・本来のインド料理では用いられてこなかった食材がどういった背景でインドに導入されたか。ゴア料理の発明の過程が記されている。
・異文化と並行して食文化が導入されることは一方的な移動ではなく、さまざまな要素が混ざり合って、新たな特徴をもった料理が再創造される(=『インドカレー伝』の趣旨)。
2.インド国外からの食材の導入
(1)前提:ポルトガルにおける食文化
ポルトガルは小さな国とはいえその料理には幅広い文化の影響が混ざり合っている。
(ⅰ)オリジン(イベリア半島)
…豚、羊の飼育や、小麦、オリーブ、ブドウの栽培に適している
(ⅱ)ユダヤ移住やイスラム教徒支配者
…近東から米、アーモンド、ザクロ、柑橘類、および砂糖が伝えられる
(ⅲ)ヨーロッパの香辛料貿易
…黒胡椒、クローブ、シナモンの安定的な供給
(ⅳ)1492年のコロンブスの航海以降、珍しい食材が新たにもたらされる
…トマト、ジャガイモ、トウモロコシ、カシューナッツ、七面鳥
いただいたサポートは全てカレーの材料費と東京マサラ部の運営資金となります。スキやSNSでのシェアもお願いします。 インド料理やカレーの本を出したいです。企画案がたくさんあるので、出版関係の方、ぜひご連絡ください。