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東京マサラ部22.オールドダッカのハジビリヤニとナンナビリヤニ
人生に必要なのは、恋と音楽とビリヤニだ!!
という有名な言葉に表されているように、ビリヤニというのはなにか謎の魔力を秘めた食べ物である。疲れたときや悩みがあるときに美味しいビリヤニを食べると、なんだかどうでもよくなる。
インドで食べたビリヤニがあまりに衝撃的で、その後の人生をまったくビリヤニにささげてしまったという人も、一人だけではなく複数人知っている。ビリヤニはおいしいだけでなく、救いを与え、人に道を指し示すのか。
ビリヤニとは何か、という解説はもっと詳しい方がいると思うのでそちらに譲る。Wikipedia日本語版のビリヤニの項を見るだけでも、ビリヤニがいかに人を狂わせるかがお判りいただけると思う。ビリヤニの起源は中央アジアというのが定説だが、インド亜大陸はおろか東南アジア、いや世界各地にまで広がっているのだ。ビリヤニの進撃はとどまるところを知らない。
バングラデシュで病に伏す
ビリヤニと聞くと、ちょうど一年前にバングラデシュに少し滞在していたときのことを思い出す。
チャナチュールを食べ、バイラブを訪れてフィッシュマーケットを見学した後にダッカに舞い戻ってボルタ祭りをした直後、自分はド派手に体調を崩したのだ。
いままで触れたことのないレベルの菌にやられて、身体が文字通り2-3日使い物にならなかった。その期間はダールしか食べられなかったが、幸い友達のお兄さんが医者だったので、診察をしてもらってなんとか回復した。
せっかく旅に出たのに体調不良になり食機会を逃すというのは不安になるし、本当につらいことだ。オールドダッカでビリヤニを食べられるようになったことで身体の回復を確認でき、救われる気持ちになったことをよく覚えている。
ビリヤニinダッカ!
オールドダッカのビリヤニと言えば一番有名なのは何といってもハジビリヤニだろう。Haji Mohammad Hossainさんが1939年にオープンしたお店で、塩の量に至るまで、レシピはいまでも何一つ変わっていないという。
オールドダッカには同名のお店がたくさん存在しているが、偽物も混ざっているという。本店はあくまでここで、
支店はここだそうです。
こちらは本店で購入してテイクアウトしたもの。
肉と玉ねぎを炒めたグレービーを牛乳で薄めるため灰色っぽい色になる。チニグラ米を使っていて、なんともプラオ的な作り方をするビリヤニ。というか名前はビリヤニだけど厳密にはプラオなんじゃないだろうか?
日本だと神田のベンガルカレーファクトリーさんでたまにハッジビリヤニ風のビリヤニを出しているらしいので食べに行きたい。
店主の証明写真が貼られるナンナビリヤニ
自分は病床に伏していながらも、「オールドダッカに行ってハッジビリヤニを是非食べたい」とバングラデシュ人の友人に訴えまくっていたのだが、友人は「ハッジビリヤニはたしかに有名だけど、ナンナビリヤニの方がうまい」と言って譲らなかった。
ということで実は病からの回復後すぐに訪れたのはハッジビリヤニではなくナンナビリヤニであった。(ナンナビリヤニでおなか一杯になったのでハッジビリヤニはテイクアウトした)
自分が連れていかれたのはここだが、他にもブランチがいくつかあり、ここは新しめの支店だという。
店の前のでかいビリヤニ鍋がトレードマーク。これはプラオのような炊き方ではなく、レイヤーで炊き上げられるタイプ。お皿ですくうのがいかにもという感じ。
このときはチキンとマトンをお願いした。チキンはチニグラ米で、ゆで卵とともに大きなレッグが埋められている。
ここのマトンビリヤニは今まで食べた中で一番うまいビリヤニだったかもしれない。病み上がりで記憶が美化されているかもしれないが。バスマティライスがふわりとしていて、マトンの肉が角煮のようにとろけた。
バングラデシュの人はライタではなく、ボルハニBorhaniというスパイスやミントが効いた硫黄臭いヨーグルトドリンクをビリヤニのおともにしていた。これを単体で飲むことも頻繁にあるみたい。
最後に、ナンナビリヤニの見分け方
ナンナビリヤニ近辺には似たような名前のお店がたくさんあるが(Haji Nanna Biryaniというのもある)、本店を見分ける方法が一つある。ナンナさんの証明写真が壁に大きく貼られているお店。それがナンナビリヤニだ。
ナンナさん。
ナンナさんとわたし。
チニグラ米の記事はコチラ。
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ハッジビリヤニのレシピはまだ研究中のため、マガジン購読者限定で追って公開したいと思います。
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