マガジンのカバー画像

こんこんちきディスクガイド

85
偏屈3人組が、週刊を目標に、個人的おすすめ音楽を押し売りします。 【メンバー】●induction_heating:BEMANIを契機にダンスミュージックのつまみ食いを始める。/…
運営しているクリエイター

#アルバムレビュー

サブスクで曲を聴いていて今日もうまくいかない

はじめにサブスクリプションやってますか。私はやってます。Spotifyです。 Spotifyは他音楽サブスクと比較してキュレーションの精度が高いらしく、有名かどうかに関わらず類似曲をどんどんおすすめしてきます。1000再生未満の無名(?)曲も次々にやってきます。しかもどんぴしゃです。 苦労せずに曲を掘れる事自体はとてもいいのですが、いくつか気になることがあります。 うまくいかない①:好きな曲がいつ来るかわからないので気が気でないキュレーションが優秀なので、たまに「これは

音が重なると心地いいという話

はじめに今回は「Jacob Collierはいいぞ」という記事です。 普段は「ドラムパターンがすべて」「ベースが太ければいい」「日本の歌詞偏重主義に一石を投じるのだ」「303+808+909=2020」みたいな曲を聴くことのほうが多いのですが、Jacob Collierの曲にたまたま触れて「良い歌声はいいなぁ」「そういえばハーモニーって音楽の3要素の一つだったなぁ」とかいう当然の気づきに立ち返る事ができました。普段の窮屈な音楽体験から少し脱出できたかもしれません。 Jac

2022年ベストアルバム25

  年ベスやります。個人的に、今年はTwitterの音楽アカを作ったりフジロックに行ったりして、音楽digモチベが本格的に再燃した年でもあったので、ちょっと気合を入れて選んでみたつもりです。digの深さでいえばまだまだですが。  それぞれにちょっとした感想コメントをつけて、また特に好きだった曲もひとつずつピックアップしてみました。各アルバムのタイトルまたはジャケットを押すとsongwhipのリンクに飛べるので、気になったものがあればぜひそちらからチェックしてみてください。

【アルバム紹介】FUJIN CLUB / 婦人倶楽部(2014)

はじめに本日はこちらのEPを紹介します。 Spotify以外の方はこちらから。 婦人倶楽部は佐渡島で結成された婦人(?)5名のグループ(http://fujinclub.fun/)。公式サイトやアルバムのアートワークなど、ゆる~い雰囲気がよくて聴いてみました。 日々の暮らしをそのまま切り取りました、というような雰囲気の楽曲だろうなと思って聴いてみるとそうではなく。削ぎ落とされて洗練されているな、という感想です。繰り返し聴くとそういう格好よさが顔をだすようです。 曲紹介

【アルバム紹介】5: Five Years of Hyperdub(2009)

はじめに本日はこちらのコンピレーションの紹介です。 Spotify以外をご利用の方はこちらをどうぞ。 Hyperdubはdubstep黎明期からあるレーベルで、主宰はdubstepを代表するアーティスト、Kode9です。 dubstepというと、どちらかというとSkrillexみたいな派手で強烈なサウンドを想起する方が多いかと思います。ただ、本来のdubstepはjungleとかdubとか2 stepとかがなんかこううまくくっついたやつで、地味です。前者をbrostep

【アルバム紹介】lapapọ / Mice Parade (2022)

はじめに本日はこちらのアルバムを紹介します。 Spotify以外の方はこちら↓を Mice Paradeはドラム/パーカッションのAdam Pierce1人によるダブ・ポストロックのバンドです。WikipediaでAdam Pierceに飛ぶと同名のプロレスラーに飛んでしまうくらい日本語情報が疎なのですが、どうやらこのアルバムの制作に携わっていたようです。 本人のbandcampページに、2013年から収録を開始し少しずつ録音されたものであること、COVID-19による

【アルバム紹介】パラード / ザ・なつやすみバンド(2015)

こんにちは。 「毎日がなつやすみだったらいいのになぁ…」と思いますよね??私はそう思うので、ザ・なつやすみバンドのアルバムを紹介します! ▽Apple Music以外の方はこちらから ザ・なつやすみバンドについて2008年結成の4人組バンド。構成は、Vo.Pf.の中川理沙、Ba.の高木潤、Dr.の村野瑞希、そしてなんと、Trp.とスティールパン担当のMC.sirafu。え??スティールパン?……とにかくかなりユニークな構成ですね。アコースティックを基調にした柔らかいサウン

【アルバム紹介】Boutique Music Vol. 1 / Boutique Music

はじめに本日は、Bandcampで先行配信された後に各サブスクで配信となったこちらのアルバムを紹介します。 アルバムのタイトル通り1つめのリリースですが、新しい人というわけではありません。中の人は音楽プロデューサーのkors kさんで、Boutique Musicはその別名義となります。もっとも、リリースから1ヶ月で新宿warpのメインフロア出演、という時点で誰かの別名義なのを隠せるはずもないかなとは思いますが、、、 楽曲のジャンルはHouseです。Houseの印象として

【アルバム紹介】時給5000兆円 / 田島ハルコ, バイレファンキかけ子(2022)

はじめに本日紹介するのはこちらのEPです。最先端です。 パワフルな歌詞に合わせるかのような音の詰まり具合です。高いところでバランスが取れているように思います。 たまたま見つけたアルバムなのでどういうコミュニティに位置しているのか気になり、調べてリリースパーティーの情報に到達したはいいものの、知らない情報が詰まっていて結局何がどうなっているかわからず… 文脈理解は諦めて、ひとまず聴いて楽しむことにしました。 曲紹介時給5000兆円 表題曲です。タイトルも歌詞もパワーに満

【アルバム紹介】Perihelion / Sungazer(2021)

はじめに今回は、こちらのアルバムを紹介します。 Sungazerは、Shawn Crowder(Dr)とAdam Neely(Ba)2人のユニットです。公式にelectro jass+EDMとある通り、生音重視なのにアンビエントに収まっていく不思議な楽曲が収録されています。 以下、数曲気になった楽曲を紹介します。 曲紹介Threshold 1曲目のThresholdは、ゲストに尺八奏者Zac Zingerを迎えての楽曲です。尺八のユリ(ビブラートのこと。首を動かして音に

【アルバム紹介】レジャーやくざは君に語りかける / Bubble-B feat. Enjo-G

今回は、Bubble-Bより『レジャーやくざは君に語りかける』をご紹介します。 はじめにたまたまこの曲に出会ってしまい、気づいたらアルバムを聴いていました。 パロディ元の落ち着いた雰囲気を破壊するダミ声が癖になります。ダメ押しのシンセリードとGABBA大オチでめちゃくちゃになっており、もう原曲の味がわからなくなりました。 Enjo-Gの香水を含むアルバム『君に聴かせたいテクノがあるんだ』は5/1リリースで、MVも各曲公開されています。リリースを待っても良かったのですが今

【アルバム紹介】Techy Works EP / Nhato(2022)

はじめに本日リリース! 以下、今回紹介のEPです。 (サブスク範囲内だと特に)最近はシングル単位でのリリースが多かったですが、突然tech danceなEPのリリースです。Nhatoさんの楽曲は派手でキャッチーなメインテーマが目立ちますが、その裏で繊細な展開、細かい音色の足し引きもあります。今回のEPは特に後者を凝縮したような曲が収録されています。 曲紹介1曲目Vertは、いつもよりアップテンポでテクノっぽい始まりです。繰り返されるメロディーの裏がとにかく細かい。単にフレ

【アルバム紹介】4巻.zip / ひがしやしき(2021)

 今回紹介するのは、二人組ヒップホップユニット・ひがしやしきによる『4巻.zip』です。  久々にものすごい人たちに出会いました。こんなきらら系4コマみたいなジャケからバチバチのヒップホップサウンドが流れてきたのも驚きでしたが、何より注目すべきはそのリリック。「大人になってしまったオタクの悲哀」という(ふざけているようで当事者にとってはそれなりに深刻な)テーマを、極めて繊細に、それでいて大胆に表現した歌詞が衝撃的なアルバムでした。  年々増える実社会との接点、嫌でも負わさ

【アルバム紹介】Mesa / Fellsius (2022)

はじめに本日は、Dome Of Doom Recordsよりリリースのアルバム"Mesa"を紹介します。 昨年末にもFellsiusさんのEP"Journey"をベストアルバムの一つに挙げたばかりなのですが、今回のEPもめちゃよい。改めて記事にします。 大枠でジャンル分けすると、当アルバムはおそらくベースミュージックに相当します。鼓膜に突き刺さるようなサブベース、パーカッション主体の暗くて地味な曲調が特徴です。ただ、こうしたジャンル分けは得てして遵守されません。このアルバム