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フランス田舎の「信頼のシステム」とファルシ作り

暮らして初めて分かることって、たくさんある。

テレビやネットで見る「フランス」と、実際に住んでみての「フランス」は、やっぱり違う。

治安の話なんかは特に。

でも、都会から少し離れた田舎町に来ると、また違った顔を見せてくれる。

それが...

無人販売所との出会い。

なんと驚きの「値段設定なし」!

お客さんが良心的に支払う金額を決められるシステム。

しかも全部オーガニック!

看板には「100% Naturel, 0% Traitement」(100%自然、0%農薬)って書いてある。 

その言葉に惹かれて、小ぶりなスイカのような形の丸いズッキーニを手に取った。

トマトもいいなと思って手に取ったけれど、財布を開いて気がついた。

大きな紙幣しかない。

近くといっても車でぐるぐる10分ほど探して、やっと小さな店を見つけた。

ジュースを買って、小銭をつくることにした。夏の日差しで喉も乾いていたから、ちょうどよかった。

戻ってきた時、私達は思わず立ち止まった。

さっき手に取ったトマトが、いつの間にか補充されている。新しいキュウリまで、きれいに並んでいた。

「あれ?」

無人販売所には、もしかしたら隠しカメラがあったのかな。そんなことを考えながら、野菜を選び直す。

家に帰って、さっそく料理の準備。

ズッキーニは肉詰めにしようと決めた。

こんな感じで作ろうって思ってたけど…。

冷蔵庫に残っていた豚のソーセージの具(chair à saucisse)に、昨日の残りご飯とオートミールを混ぜ合わせる。

香りづけにハーブを刻んで。

ファルシ(詰め物)を作りながら、ふと思う。

子供の頃、日本の田舎にもこういうのいっぱいあったの思い出した。

今はどうなってるんだろ...。

きっとまだあるよね。

こんな風に、誰かを信じることから始まる関係って、なんて素敵なんだろう。

農家さんは私たちを信じて野菜を置き、私たちは農家さんを信じてお金を置いていく。

...あ、でも今回のファルシ(肉詰め)、オリーブオイルの量が多すぎたかも。

完成!

でも、これはこれで。農家さんの野菜の味が生きてる。

あー美味しかった。 


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