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今日の晩酌 〜フランスでよっちゃんイカに出会う〜

フランスに住んで十数年。

フランスには「アペロ(Apéro)」という習慣がある。

夕食の前に軽くお酒を飲みながら、おつまみをつまみ、会話を楽しむ時間だ。

家族や友人と過ごすことが多いが、一人で楽しむこともある。

というか、私はこのひとりアペロが最高に楽しいし気に入っている。

私にとっての晩酌は、まさにこのアペロ文化の延長線上にあるものかもしれない。

今夜の主役は、グランフレで偶然見つけた「アンチョビとオリーブのロール」。

オリーブの中には赤いパプリカが詰まっていて、それを酢漬けのアンチョビでくるりと巻いたもの。

Rouleaux d'anchois et olives

なんともスペインのバルに出てきそうなおしゃれな一品ではないか。

「これ絶対、白ワインが合うやつ!」と意気揚々と買って帰り、冷やしておいたシャブリとともに、一口。

……ん?

しょっぱさと酸味、そして独特の魚の風味。

なんだろう、この懐かしさ。

もう一口。

……あっ!

よっちゃんイカだ!

そう、あの駄菓子屋で30円ぐらいで買っていた酢漬けの。

小学生のころ食べた、あのよっちゃんイカの味にそっくりではないか。

赤い方ではなくて、あの白いバージョンの方のよっちゃんいか。

ここはフランスのスーパー。

おしゃれなアンチョビのタパスが、まさか幼少期の駄菓子屋の記憶を呼び起こすとは。

スペインのバルでは 「ギルダ(Gilda)」 というピンチョス

人生とは面白い。

それにしても、ワインとよっちゃんイカ白(風)は、想像以上に相性がいい。

シャブリより手頃な価格で、カジュアルに楽しめるワインのキリッとした酸味とミネラル感のプチシャブリが、アンチョビの塩気を引き立てながらも、全体のバランスを見事に取ってくれる。

冷やしておいたPetit Chablis


これが大人の楽しみというものかもしれない。

こうした発見をしながら、フランス流のアペロを取り入れた晩酌を楽しむのも悪くない。

次は、どんな「大人になってから出会う懐かしい味」に巡り会えるだろうか。

そんなことを考えなら今夜も・・・・。

ニヤニヤが止まらない。


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