もう一回乾杯しようよ。
とある空気のひんやりとした秋の夜、彼と私は大学のそばの小さな居酒屋で、いつものようにくだらなかったり、くだらなくなかったりする話をしてだらだらとお互いの時間を共有し合った。
私は酒に強く、酔っ払って記憶を無くしたり、泣きわめいたりしたことは一度もなかった。私にとってお酒は、少し奇妙な味のするジュースだ。酒に溺れて突拍子もないことをしでかす大人に、少し憧れも感じるくらいだった。
彼はお酒に弱く、何杯か飲んだだけですぐに頬がピンク色に染まる。
「ゆでだこだね」
「うん」
今ま