私の目に映るあの人は、とてもぼやけている
我が家は、父・母・弟・私の4人家族です。
私が生まれたときは3人家族だったけど、今は4人家族です。へんなの。
私の母は結構面白い人です。
携帯の置き場所が変わっていることを「転勤した」と言うし、テレビ画面の乱れを「手ブレ」と言います。
私を産んでからずっと専業主婦でしたが、最近は週に何日かパートに出ています。
家事ができないわけではないですが、さすが私の母という感じでとても大雑把なので、家の中はあまりきちんとはしていません。
5年くらい前から趣味でギターを習っていて、家でもよく練習していますが、最近は私が日中家にいないことが多いので、ギターを弾いている母をあまり見かけなくなりました。
母にはこれまでたくさん迷惑をかけてきてしまったので、自分の好きな趣味と巡り会えて、続けられて、楽しそうにしているのを見て、本当によかったとすごくほっとしたのを覚えています。
父は、言語・哲学・政治など、色々なものを学ぶことが好きです。
最近は仕事がとても忙しくてなかなか趣味の時間を取れていないようだけれど、時間があれば、机に向かってよくわからない本を読んだり、何かを書いたりするような人です。
弟の名前には、哲学の「哲」の字を入れました。
父は、平日は本業を、土日は時々副業をする忙しい生活を続けていたのですが、最近本業が忙しくなり、趣味半分でやっていた副業を最近になって辞めてしまいました。
父は私にあまり仕事の話をしてくれないので、私は父が副業を辞めたことを知りませんでした。
父の日にネクタイをプレゼントした後、母から「パパ、もうスーツのお仕事辞めちゃったのよ」と聞きました。(父の本業はサラリーマンではなくて、副業のときだけスーツを着ていました。)
忙しすぎる父のことを心のなかではすごく心配しているのに、口には出せない自分が情けないです。
口に出したところで何もできない自分が、不甲斐ないです。
弟は、哲学的な青年には育ちませんでした。
私の方がよっぽど、いらんことばかりうだうだ考えるタイプだと思います。
アニメや漫画やゲームが好きな至って普通の男の子ですが、環境に適合することがあまり得意なタイプではありません。上手に生きるのが、少し下手かもしれません。
家族じゃなかったら、私は弟と親しくはなっていないだろうなと思います。
昔はよく癇癪を起こして家族にあたっていたし、この子は本当にだめなんじゃないかと思っていましたが、最近は少し大人になったようで、いつのまにか、母に優しい言葉をかけたり、きちんとお礼を言ったりはできるようになっていました。
私よりも、よっぽとちゃんとしているかもしれません。
弟の部屋は、殺風景ですがいつもきちんと片付いています。
私の家族は、こうして書き留めるといたって平凡な、平和な家庭に見えますが、実際はそうでもありません。
もちろん平和なときもあります。
家族が大好きで、ここに生まれてよかったと思うこともよくあります。
でも、そうじゃないこともあります。
家族の人として尊敬できない部分を見つけてしまったとき、とても悲しくなります。
当たり前のことなのかもしれませんが、物事には良い面と悪い面が存在します。
悪い面しか見えなくなってしまうこともあります。そんなときは、自分の心にどんな声をかけても無駄なので、気持ちが収まるまで放っておいてあげるしかないのです。
私の家族も、誰かの家族も、私も、誰かも、たとえ見えなくても問題を抱えていることがあります。
悲しいことなのか、良いことなのかはわかりませんが、大概の場合は、言わないことは伝わらないのです。
我が家にも、たくさんの問題がありました。
いまも、たくさんの問題があると思います。
私も、たくさんの問題を抱えています。
でも、私自身もその問題全てを把握しているわけではありません。
だから、私の問題をすべて他人に理解してもらおうなんてことは無理だと思っています。
私は、他人のことを自分が知っている一面だけで判断してはいけないなと強く思います。
私が知っているのは、その人のほんの一部分であって、それはその人の本質や、その人の抱えているものには、何の関係もないかもしれないからです。
しかし、自分の主観で他人を判断してしまうことは、避けられないことだと思います。
人は主観しか持っていません。主観で相手のことを理解しなければ、誰のことも好きになったり、嫌いになったりできないと思います。
ただ、判断の仕方には気をつけなければいけないと思います。
自分が見ている相手の姿は、とても遠くから覗き見して垣間見えた、ぼんやりとしたものであることを、忘れてはいけないと思います。
「人を見かけで判断してはいけない」という言葉は、実はとても深いのかもしれないと感じました。
私はあなたのこと全然知らないです。という心で、たぶんこれからも生きていきます。
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