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映画『王女メディア』 (ネタバレ感想文 )ルールの分からないゲームを見せられた気分

ピエル・パオロ・パゾリーニ。略してPPP。そんな言い方誰もしない・・・って言おうと思ったら、公式サイトのURLがppp2022だった。

そんなPPPことイタリアの奇才パゾリーニですが、どうもご縁がありませんで、30年くらい前に『アポロンの地獄』(1967年)を観たきり。
今回、ザジ・フィルムズのおかげで劇場鑑賞。
ザジ・フィルムズさんありがとう!

とにかく見たことないものの連続。

ここ、どこ?どこで撮影したの?
その衣装なに?馬まで衣装着てるじゃん。
その儀式はなに?一体何をやってるの?
いや、そもそも一体何を見せられてるの?
やー、本当に申し訳ないんですが、ルールの分からないゲームを見せられている気分(笑)
音楽なんかもさ、劇中のギリシア人なのかイタリア人なのかが歌っている体で日本の長唄が流れてるもんね。
もはやSF。
なんだよ、旧ケンタウロスと新ケンタウロスって。

最初にケンタウロスがゴチャゴチャ経緯を語るんですが、ギリシア神話にしても古事記にしても、神話物は姻戚関係が複雑で頭に入ってこないんです。実際、聞かされてる子供が寝ちゃうからね。
お前、わざと分かりにくく話してるだろ!って思ったら可笑しくなってきちゃって。加えて上述した目的の分からないトンマな祭り=トン祭りでしょ。もう可笑しくて可笑しくて。
もはや珍作。
おー、これがマリア・カラスかあ、と思ったら歌わないのかいっ!

ところがこの映画、ずーっと何だか分からないんだけど、読後感とでも言うのかな、終わってみたら「分かる」んですよ。
もしかすると「ギリシア悲劇・メディア」を最初から知っていれば笑わずに見られたのかもしれませんが、話を知らずとも、終わってみたら粗筋も登場人物の感情も、なんだか全部理解できる・・・気がする。

そういった意味ではすごい映画、というか、珍作/傑作「紙一重」のような気がするので、中途半端な評価より、敬意を払って潔く星1つ。

監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ/1969年 伊=仏=西独

(2022.03.05 新宿武蔵野館にて鑑賞 ★☆☆☆☆)

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