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映画『ジャン=リュック・ゴダール 遺言 奇妙な戦争』 ジジイいい加減にしろよ(ネタバレ感想文 )

監督:ジャン=リュック・ゴダール/2023年 仏=スイス
(日本公開2024年2月23日)

私はかれこれ30年以上「ゴダール嫌い」を掲げております。
じゃあ何で観に行ったんだ?って話なんですが、やっぱりねえ、偉大な監督なんですよ。

ゴダールは多作で、なんだかんだで長編映画だけでも50本くらい、細かいのを入れると100本くらい作品があるのかな?
まあ、私が観てるのはせいぜい10本程度ではあるのですが、滅多に付けない私の「★1」評価作品が最多の監督(笑)。偉大だ。

単なるツマラナイ映画って「★2」なんですよ。
「★1」に至るには、ひど過ぎて腹が立つとか、ひど過ぎて逆に愛おしくなるとか、そうでないと「★1」にならない。
『アルファヴィル』(1965年)なんか珍作ですよ。珍作過ぎて愛おしい。

そうは言いながら、私も『軽蔑』(63年)と『はなればなれに』(64年)は大好きなんです。「★5」評価。

今回のこの『遺言』、20分程度の短編で、料金は1000円均一なんですが、20分でも長いし、1000円も返してほしい(笑)
むしろ1000円くれるなら観てやってもいいくらいのレベル。

晩年のゴダール作品は全く観ていなかったので何とも言えませんが、なんだかもう、もはや「俺のメモ書きすら映画だ!」的な傲慢さが感じられて嫌。
あなたのご高説、それほどありがたいと思ってないんで。

たしかにゴダールは、ナチス侵攻によるパリ陥落時代に少年期を過ごしてるんですよね。(ゴダール1930年生まれ、パリ陥落1940年)
この映画における彼の戦争回顧は1936年のスペイン内戦から始まりますけどね。
まあ、そう考えると、フランスの支配下だったアルジェリア独立戦争(54-62年)といい、ベトナムはもちろんのこと、この映画ではサラエボやロシアについても触れますが(この映画製作時点でロシアのウクライナ侵攻が始まっていたかどうかは分かりませんが)、ゴダールの生きた時代(その半分は我々も生きた時代である)は、ほぼ常に戦争の時代だったんです。

こう書くとね、『奇妙な戦争』とタイトルに掲げて、ゴダールが反戦的なことを訴えている映画にも思えるんですけどね。
途中で「ハンナ・アーレント」の名前を出すんですよ。
この意図が分からない。

私の浅くいいかげんな知識では、ハンナ・アーレントは、ゴダールが支持した共産主義や毛沢東を否定する立場だったと思うんですがね。
彼女は暴力を伴う革命と戦争は同じだというようなことを言っていたように思うので、極端なことを言うと「革命家」ゴダールは戦争に加担した側だという解釈も成り立つんですよ。

穿った見方をすると、ゴダールが暴力を肯定し、戦争に加担していたことを自白した『遺言』なのかもしれませんよ。
だって、『奇妙な戦争』とか言って回りくどくゴチャゴチャ能書きたれずに「戦争反対!」って明言すりゃいいじゃない?

岡本太郎の「殺すな」がどれだけ強いことか
(岡本太郎自身の発案かどうかは分からないけど)

というわけで、敬意を込めて★1評価。

(2024.03.10 新宿武蔵野館にて鑑賞 ★☆☆☆☆)

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