見出し画像

一段 春は、花粉

 春は、花粉。
 やうやう赤くなりゆく、鼻の穴のきわ少し乾燥して、白くにごりたる山景色、もしかしてあれ全部花粉なのかと戦慄す。

 
 夏は、毛布。
 花火大会はさらなり、地元の小さいお祭りもなほ、けさうびとといけばをかし。また、ただそれを考えながら、エアコンで寒くした部屋で毛布にくるまるはさらにをかし。
 

 秋は、不調。
 季節の変わり目はいっそうだるく眠くなりたるに、会社員の退勤するとて、定時10分前、定時5分前など、飛び急ぐさへあはれなり。またさらでも秋花粉の襲撃したるさまはなはだあし。温暖化進みて、秋などをさをさ感じまじけれ。
 

 冬は、つとめたくない。
 雪の降りたるは、言ふべきにもあらず出勤むつかしく、霜のいと白きも出勤むつかし、また、さらでもいと寒きに、火などおきて、会社の燃ゆるを想像す。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、絶えず眠くなりてわろた。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?