エッセイ「話を作るとトべる」
小さな頃から物語を書くのが好きな子供だった。
現実世界に恵まれないので、頻繁に空想の世界に逃避行を重ねた。よくある話だ。
初めて書いた話は、小学校2年生の頃に図画工作で絵を描いて、その画用紙の後ろに国語でその絵に沿った物語を書いたものだった。いわゆるカリキュラムマネジメントというものである。
7人の少年がモグラの案内人に連れられて地下を冒険する話である。細かな内容は一切覚えていないし、恐らく作品も残っていないが、「少年全員がため息をつくと、その音階が奇しくもドレミファソラシ