無限最終審査めくり地獄
俺は死んだ。バイク事故だったそうな。
死んだ瞬間のことは覚えていない。痛みすら。ただ横転しながらトラックに自ら飛び込んでいくあの刹那のヒヤリハットと死に対する恐怖だけを残して、気がついたら音も光も無い世界へ突っ立っていた。
俺は危険な運転を後悔する間もなく、突然何かしらの焦燥感に駆られて走り出した。これは皆にどうイメージできるか分からないが、喩えるならば、当てもない散策中に、図らずもパンの薫りがする方向へ向かって行ってしまうような、そして辿り着く先が案の定ベーカリーであるよ