絵本『だれでものいえへ』ongoing project vol.04
『だれでものいえへ』は、こども食堂のための絵本です。
こども食堂が、すべての町にあるようにとの願いとして。
また具体的には販売することによって、こども食堂に利益が生まれるよう考えている、現在進行形のプロジェクトです。
--編集者さんに悩みを相談する--
さて、ここからは、わたしのほうから土井さんに悩み事相談です。
本作『だれでものいえへ』という絵本は、おばけが青い町・黄色い町・緑色の町を通過して最後に『こども食堂』のある赤い町に辿り着く物語です。
問題なのは、こども食堂でおばけがご飯を食べて、さて帰ろうというシーン。
そこには遠景として全ての町が繋がり、それぞれの町にも『こども食堂』があることが見えるという重要な場面になっています。
これが(わたしにとって)、とても、やっかいなのでした。
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おばけは各町で左から右へと進んでいきます。これは、この絵本の文章が『横書き』だから。
絵本にはページを右に開くもの(縦書き用)と、左に開くもの(横書き)があります。
文章が横書きで、左にページを開きながら進んでいく物語では、時系列も主人公の動きも、右へ進んでいくことが自然です。
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青い町・黄色い町・緑色の町・赤い町を1ページに配置するには、全てを一列に並べれば簡単です。
でも、そうすると各町がとても小さくなってしまいます。
ここが、わたしが行き詰まり苦しんでいるところなのです。
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土井さんに相談するために準備したのは、各町を小さくプリントしたもの。
土井さんの前に全ての町が見えるページを置いて、相談です。
「ここがおばけのこどもが歩いたルートなんですよ。で、次の町に行くには、この端っこと、この端っこが見えてなければならなくて、、、。そうして繋げると、おばけのこどもが、えらい距離を歩いてることになってしまうんですよ、、、」
そう、わたしは各ページに現れる全ての家を遠景の中に収めたくて、更におばけが歩いたルートも全て見えるようにしたいのです。
土井さんは言いました。
「厳密にルートを固めるんじゃなくて、この町行ったな、この町にも行ったな、くらいの描き方でいいんじゃないかな。つまり、画面に全て描き込まなくてもよくて、見えない場所があってもいい」
「、、、そーーーかーーー!!!」
何日もかけて描いては消して悩んでいた問題は、一気にクリアになりました。
これで、描き進めることができるぞ!!
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しかし、、、家に帰って、やっぱり全ての家とルートを描きたくて、画面の中に収めてみました。
これは次回土井さんに更に相談することになります。
編集者さんの仕事は物語を洗練させて世の中に届きやすくする役目ですが、作家の『こだわり』とぶつかりあうことがしばしばあります。
こんな時、わたしは兎に角自分のこだわりを実際に絵に起こして編集者さんに見ていただくことにしています。
つづく
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2024/08/27
ペレカスブック新井由木子
記事の制作公開は、編集者土井章史さん、クライアントこども応援ネットワークPineさんのご了解をいただいています。
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記事:ペレカスブック店主イラストレーター・デザイナー:新井由木子
埼玉県草加市の小さな書店(実店舗は2023年5月にクローズ。新店舗持てるように奮闘中です)
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