営業職①
私はこれまで2度、営業職に就いたことがある。
今回は2部構成で執筆していきたいと思います。
一つは乳幼児を対象にした「英会話教室入塾の営業」。
もう一つは「インターネット回線の工事の営業」だった。
どちらも長続きしなかったが、これらの仕事を通して、営業には向いていないことを確信した。
営業職と聞くとノルマや目標達成時のインセンティブといったワードを思い浮かべるだろう。
しかし、それらの要素が私にとっては大きなプレッシャーとして重くのしかかり、応えられなくなってしまった。
入社目は気合充分、準備充分、メンタルセット完了といった具合で意気込んでいたものの、私は同じ失敗を繰り返してしまった。
noteでも何度かお話したが、私は以前、販売の仕事をしていた。
もちろん、その当時も売上目標や利益率、値下げ・廃棄ロス率といった数値目標と向き合っていた。
しかし、基本的には膨大な仕事をこなし、無事に帰ってくることが出来ればOKというスタンスで会社側もそのスタンスに対してそこまで詰めてこなかった!。
それらの数値目標は一生懸命頑張った延長線上に副産物として跳ね返ってくるようなものとして評価された。
だが、営業職のステージに移ると一変する。
より激しく厳しく現実を突きつけられ焦燥感、プレッシャーに駆られた。
次第に自分を追い詰めていき、最終的には耐えられなくなり、会社を去ってしまった。
英会話教室の営業ではロールプレイングを通して、インターフォン越しの会話、ドアを開けてからのクロージング、アポイントの取り方など社内で十分に研修を行ってから現場に出た。
私は過去に英語を積極的に学んできて、アメリカへの語学留学にも参加したことがあったため、慣れればある程度の成果を収められる自信があった。
しかし、結果は全く振るわなかった。
振るわなかったというより、現実をこの目で見てモチベーションと向上心が一気に失われてしまった。
この仕事はチラシと簡単なグッズを持って、決められたエリアを巡回していく。
チームに分かれ、車に乗り込み、目的地に向かう。
スタートしたらお子様がいそうな物件にひたすら声をかけていく。
快く話を聞いてくれるパターンもあれば、全く聞き入れてもらえないことがほとんどだ。
途中まで感触は良くても「他の教室も考えてる」や「やっぱり経済的にも時間的にも厳しい」と断られることも沢山ある。
見事、アポイントを獲得出来れば、教室の体験クラスを担当するチームに報告し、情報を引き継ぐ。
これが私の所属している部署では成果となって報酬に反映される。
対応してくれた住民の方々からクレームや叱責を食らって落ち込むという営業職のあるあるはよく聞くが、私が抵抗を感じるようになったのはちょっと違う。
突然、家に押しかけ、時間を取ってもらい、興味や関心のない人に無理やり商品やサービスを提供して騙してお金をもらっているような気がして嫌気が差してしまった。
勿論、公正に仕事をしている会社で、客からお金をだまし取ったり、高額なスクール料金を押し付けるようなサービスを提供していないのは間違いない。
クリーンな企業体質で社員もそれぞれ若手を中心に精一杯働いている。
しかし、私自身が疑義を唱えるようになり、後ろめたさを感じてしまった。
「そこまでしてお客様にこの商品を販売しないといけないのか?」
「私たちが営業をかけなくても本当に必要と考えている家庭は自分たちで情報収集して既に動いているのでは?」
と考え、こんなことを朝から晩まで四六時中続けるのは不可能だという気持ちになってしまった。
やがて、私はある朝、自宅から起き上がれなくなってしまった。
会社に休むことを伝えたがその後、会社に復帰することは出来なかった。
自分の口で退職の意思を伝えることすらできず、2万円程払って、退職代行を利用した。
オペレーターに電話を繋ぎ、名前と現在の住所、退職理由、最後に伝えるメッセージを話した。
結局、私は数週間でその会社を辞めた。
こういうことがあって今も前向きに転職活動が出来ず、バイト生活に明け暮れている。