「狐の尻尾」の民話が残る静岡県掛川市の海へ!
新しい働き方LAB研究員制度を通して掛川を訪れる機会が少しずつ増え、個人的にも掛川周辺の民話や幻獣について地道にリサーチしています。昨日〜今日は仕事の休みを利用してフィールドワークを行いました。
私の計画書はこちらをご覧ください。
いざ目的地へ!
早速新幹線に乗って掛川へ。車内で掛川の民話や幻獣について調べながら今回の目的地を決めました。
品川駅から1時間半ほどで掛川駅へ到着。しかし今回の目的地を訪れるためには、掛川駅から浜松側へと2駅進んだ袋井駅からバスに乗る必要があるとのこと。ということで、掛川からJR東海道本線に乗り換えて袋井駅へ向かいました。
袋井駅からはバスに乗車。約30分間ほどで終点の横須賀車庫前へ到着しました。交通系ICカードは使えませんでしたが、運賃の支払い時に自動で両替・精算してくれる便利な機械が搭載されているため小銭がなくても安心です。
さて、目的地最寄りのバス停に着いたものの、この日の掛川市の最高気温は36℃。立っているだけで全身から汗が吹き出し、息苦しさを感じる蒸し暑さ!
今回の目的地はここから2kmほどの場所にあります。周囲にレンタサイクルも(おそらく)なく、免許がないため車を運転するという選択肢もありません。
ということは…そうです。歩くしかありません!幸いバス停からは交差点を一回曲がって直進するのみなので、方向音痴の私でも安心。
道中の風景はこのような感じです。
沖之須に到着!海だぁ🌊
横須賀車庫前のバス停から歩くこと約30分。
ついに目的地へと辿り着きました!
そうです!今回の目的地は海でした🌊
風や波の音、潮の香りが写真では伝えられないのが残念ですが、目の前に広がる広大な海を見て、何か大きなものに包み込まれているような感覚を抱きました。海は生命の母だと言われていますが、なんとなく理由が分かった気がします。
狐の尻尾
なぜ今回掛川市の沖之須地区を訪れようと思ったのか。それは、こちらのサイトに載っている「狐の尻尾」という民話を知ったからでした。
良くも悪くも見えないものや空気感の影響を受けやすい私自身の体質?感性?や、ゆくゆくは子どもたちを対象に多様な表現が生まれるワークショップを行いたいという思いから、民話を選ぶ際には「バッドエンドではないもの」「死や呪いに関する内容ではないもの」「『正解』や教訓のような要素が薄く、謎や不思議に満ちたもの」を選ぶようにしています。
「狐の尻尾」はこうした呪いや殺生について描かれておらず、日常の中で起こった不思議な体験や人間と怪異との交流が生き生きと伝わってくる点が魅力的。人間にとっての利益や功績、教訓めいたものを無理矢理結び付けることなく語り継いでこられた先人たちや、ホームページに掲載するにあたってこの民話を選び、原典の軸を大切に分かりやすく編纂された方の感性に惹かれ、この民話を選びました。
まだまだ無知な私ですが、幻獣が人間にイタズラをする→怒った人間が反撃→幻獣が被害を受けて体の一部を失う→人間からそれを返してもらうという展開の民話と言えば、各地に伝播している「河童の妙薬」の物語が有名なのではないでしょうか。けれどこの狐の場合は人間に妙薬の知恵を授けた河童とは異なり、引きちぎられた尻尾を源二郎から返してもらった際、イタズラをやめたこと以上の特別なことはしていません(狐サイドに立てば、もともとあった尻尾を取られ、それが返ってきただけなのだから、それ以上の何かを人間に与える理由はそもそもありませんが…)。
では何故、この狐はわざわざ源二郎のもとへ現れたのでしょうか?ただイタズラがしたかっただけ?それとも、他に理由があった?改めて民話を見返すと、そんな謎や不思議=多様な解釈の余地を見出すことができます。
海には魅力的な「こらくた」がたくさん!
沖之須の浜辺を散策していると、目を惹く不思議な形の物をいくつか発見することができました。
これまでは、これらの総称として「素材」や「コラー獣のもと」など統一性のない呼び方をしていました。が、切貼民話の活動や表現・発信方法のブラッシュアップを考える中で、ふと
「こらくた」
という4文字の言葉が浮かびました。私なりに定義をすると、次のようになります。
よりしっくりくる造語を閃いたら今後変えるかも知れませんが、しばらくは「こらくた」という語を用いていこうと思います。
では、沖之須の海辺で見つけた「こらくた」たちの一部を紹介します。
「こらくた」を使った立体的コラー獣作り
「こらくた」たちをスマホで撮っているうちに、「これ、この場で組み合わせたら面白そう!」という無邪気な好奇心が湧いてきました。暑さとバスの時間のリミットがあったため十分に「こらくた」集めと制作ができない状況でしたが、こんな立体的コラー獣が誕生。
コラージュという表現方法の良さは、物の大小関係を無視したり、雲や水など形を留めない物を素材に出来たりする点だと思っています。
一方で実物の「こらくた」を使って表現する良さは、奥行きを利用できる点だと感じました。この作品の場合、狐の顔にあたる部分と両耳にあたる部分はそれぞれ別個の「こらくた」で、砂浜に木を突き刺して耳に見えるようにしています。重ねる・乗せる・立てかける・引っ掛けるなど「こらくた」同士を直に接するよう配置するのみならず、物理的には離れているけれど重なっているように見せる方法が取れるのだなぁと目から鱗でした。
まとめ
以上、静岡県掛川市のフィールドワークのレポートでした。
これまで私は、山や森、神社を舞台に民話ゆかりの地を散策をしてきました。しかし今回浜辺を散策することによって、海ならではの魅力や表現の可能性を感じることができたのが大きな収穫。
浜辺の「こらくた」に着目すると、貝殻や海藻など海特有のものに加え、波の働きによって研磨されたと思しき不思議な形をした木や石がたくさんありました。「流木アート」というアプローチが生まれるのも納得です。今後、海に因んだ民話ゆかりの地で、その場で「こらくた」を集めてコラー獣を作るワークショップを行ってみたいなぁと夢が膨らみました。
引き続き、掛川をはじめ様々な場所でフィールドワークや表現をしていきたいです。
お知らせ
先日、第1回目のワークショップを開催した「全く新しい坂戸妖怪をつくろう!!」の第2回目が、8月4日(日)に開催されます!
前回行った「妖怪採集」のシェアや、街歩きで撮影した「こらくた」を使ったコラー獣作りを行います。
前回参加してくださった方も、今回から参加される方もどなた様も大歓迎!こちらのURLをクリックしGoogleフォームをご入力ください☺️たくさんのご参加、お待ちしております!!