遠野の旅①〜遠野郷八幡宮・伝承園〜
前回のブログでは、岩手県北上市を初めて訪れ鬼の館へ行ったことについてまとめました。
今回はその翌日、遠野市を訪れたことをまとめたいと思います。長くなってしまうので前編と後編に分けて書いていきます。
行きの電車で早速トラブルが…!
北上駅からJR東北本線に乗り、花巻駅で釜石線へと乗り換え。豊かな自然が広がる景色を眺めながら遠野駅へと向かいました。
電車は順調に進み、車内での読書も捗ります。…が、トンネルに差し掛かろうかというところで突如電車が停車。
「ただいま、この電車が鹿と衝突をしました。安全確認を行いますので、これより一時運転を見合わせます」ー。
な、なんだって〜⁉️
これまで電車が鹿と衝突する話は何度も聞いたことがあるし、私の実家も田舎なので鹿は比較的身近だと思っていました。が、乗っていた電車が人身事故ならぬ鹿身事故に遭うのは初めて。列車後方の窓から線路を見ると、後ろのほうで鹿が横たわっていました。どうやら命はあるらしく、ピクピクと動いています。
「鹿と衝突すると、だいたい20分〜30分は停まるだろうなぁ」
「脚を骨折してら。命はあって何よりだけど、あれじゃあ野生じゃ生きていけねぇなぁ…」
など、乗客の方々の声が聞こえてきます。まだ幼稚園に入る前、小さい頃の私の将来の夢は、何故か「角の生えた立派な鹿さん」。幼い頃に家族で住んでいたアパートの近くの公園にいた鹿を見て感動したからなのでしょう。それだけに、とても他人事ならぬ他鹿事とは思えませんでした。
幸い鹿はヨロヨロと動き出し、線路や車両の安全確認がとれたため、電車は20分ほど遅れて動き始めました。なんとか生き延びることができると良いのだけれど…。
初めての遠野、初めてのゴンゲンサマ
ハプニングがあったものの、遠野駅へ到着。遠野市観光協会さんにて河童捕獲許可証(顔写真入りの免許証タイプ)を購入。そして、切貼民話散策恒例のレンタサイクルを借りました。ありがとう、レンタサイクル。
自転車を漕ぐこと約20分、最初の目的地である遠野郷八幡宮に到着しました。手水舎には河童が!
参拝した後、目的であった神楽を観ることに。鹿身事故による遅延がありましたが、なんとか時間に間に合いました。
民話ゆかりの地を巡るようになり約1年になりましたが、神楽を観るのも今回が初めて。舞に込められた意味や願いについて、事前にとても分かりやすい説明をしていただけたので、神楽の世界に惹き込まれました。クライマックスには『遠野物語』にも登場するゴンゲンサマが登場。火を消したという伝承を表すため、赤い布を火に見立てて表現していました。最後には希望者が並び、ゴンゲンサマに頭を噛んでいただきました。ご利益がありますように✨
伝承園までの道のり
遠野郷八幡宮からさらに自転車を走らせ「オシラ堂」がある伝承園へ向かいました。道中の景色はこのような感じ。のどかな自然に囲まれて心が洗われます。
ふと、「キツネの関所」という看板が。案内に従って進むと、こちらの看板と石碑がありました。
さらに自転車を漕ぎ続けると河童の石像が。遠野では街を盛り上げる存在として河童が大切にされているのだなぁ。
伝承園へ
途中「キツネの関所」周辺を散策したため、遠野郷八幡宮から自転車で30分弱で伝承園へ到着しました。
園内では『本当にはじめての遠野物語』という書籍に関する展示が行われていました。『遠野物語』も民俗学も妖怪文化もほぼ素人の私。ですが、とても分かりやすく内容やゆかりの地についてまとめられており、遠野散策を始める上で最適な展示and本でした。伝承園さんの売店で即購入。夢中で一気読みしました。
園内には昔の家屋を再現した建物がたくさんあり、遠野物語が生まれた原風景を感じることができます。
建物の中はかつての暮らしが再現されています。「語りが生まれた囲炉裏の団らん」というコーナーに感動。語り部の録音音源を通して物語が生まれ、語られ、紡がれた風景を体験することができました。
「オシラ堂」には、たくさんのオシラサマが飾られ、人々の思いや願いがこもった布がかけられていました。とても悲しい物語があるオシラサマと馬。だからこそ大切にしてきた遠野の人々の温かさを感じました。
前編のまとめ
以上、遠野レポート前編でした。
初めての遠野ということもあり有名な観光地となっている場所の散策が中心となりましたが、民話が生まれる風景を感じることができたように思います。かつて交通の要所、内陸と沿岸の文化が混ざり合う宿場町として栄えていた遠野。今よりもさらに自然に溢れ、灯りも少なく、現代社会に比べてアクセスできる情報にも限りがあり、したがって五感が占める情報のウエイトが高かったであろう環境の中で、人々は想像を膨らませながら口伝というアプローチで物語を生み出し、紡ぎ、変容させながら伝わっていったのだと思います。
こうした軌跡が今もなお大切に残されていることに、遠野の魅力を感じました。
次回のブログでは、かっぱ淵〜とおの物語の館についてまとめたいと思います。お楽しみに…!
最後までご覧いただきありがとうございました!