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御嶽山〜武蔵御嶽神社の切貼民話

前回の記事で書いた御嶽山〜武蔵御嶽神社の切貼民話を作成しました。

前回の記事はこちらをご覧いただけたらと思います。

おいぬさま

まずは、なんといっても「おいぬさま」。
道に迷われた日本武尊たちを救ったことがきっかけで、それ以来この地を護る存在になりました。

大口真神を祀る祠。
大口神社の案内。

御嶽山で集めた素材を輪郭に沿って切り取り、ピンときた配置に並べて表現していきます。
今回はせっかくなので大口真神をテーマにした作品を4つほど制作してみました。先に素材を切ることで、最初から「こういう形にしよう!」と意図的に表現するのではなく、それぞれの素材の形や私自身の直感、偶然性などを楽しみながら制作することができます。

こうして出来上がった「おいぬさま」たちがこちら。

「駆けるおいぬさま」。少々小ぶりなので子どものオオカミでしょうか。無邪気な感じがして愛らしいです。
「導くおいぬさま」。谷を飛び越えながら「こっちだよ!」と案内しているように見えます。頭の部分で使った素材と首の部分で使った素材は別物。苔むした木の素材を自然な形で繋げました。本来の神話では黒いオオカミか白いオオカミかが登場しますが、ここで新たに緑色のオオカミが誕生しました。
「座るおいぬさま」。多分きのこだと思われる素材を尻尾にしました。木のこぶを切り取った素材で表現した顔は、どこか賢そうでもあり寂しそうでもあります。自分を大切にしてくれた日本武尊が再び会いに来てくれることをずっと待ち続けているのでしょう。
「吼えるおいぬさま」。大口真神式年祭では、扉を開閉し大口真神が現れ、そして帰っていく際に「おおー」という声が神職の方によって発せられました。そこから、おいぬさまが吼える姿をイメージし、表現したのがこちらの作品。時に人々を襲い、時に田畑を荒らす獣たちを退けた…。そんな恐怖と恩恵の双方を切貼民話で表しました。

御嶽山の自然が様々な表情を見せるように、切貼民話で表現した「おいぬさま」も様々な姿で表現しました。

太占

次に「太占(ふとまに)」です。こちらの武蔵御嶽神社では鹿の肩甲骨を焙り、その割れ目から農作物の豊凶を占うのだそう。卜占に興味があるので太占自体は知っていましたが、現在も行われている場所を訪れるのは初めてなので感動しました。

太占の案内。

そんな太占から着想を得た切貼民話がこちら。

山の精霊が訪れ、儀式用の土器に置かれた骨を不思議な火で焙っているところ。落ちていた木が鹿の角のように見えたことから生まれた作品です。もちろん実際に行われている太占とは全く異なり、私独自の解釈です(実際の太占は秘術なので見ることはできません)。けれどきっと、儀式で使われる火には精霊が宿っているのだろうなぁ。

鳥のような精霊の顔の部分は山道の道中にあった消火栓。自然物と人工物とをいとも容易く自然な形で結び付けることができるのが、コラージュというアプローチの魅力の一つです。

やまのかみがみ

最後は、登山道で見つけた「やまのかみ」から着想を得た切貼民話です。

「やまのかみ」の案内。
八百万の神的なマインドが素敵。
「やまのかみ」の碑と思われるもの。

「神霊の総称」と書いてあることから、唯一神がいるわけではなく、八百万の神がいるのだろうと感じました。こうして生まれた作品がこちら。

鮮やかな顔の鳥の神は自然の恵みをもたらす。少し不気味な顔の梟の神は命の終わりを見守り、別の世界へと誘う。花の顔をした神は自然の循環が生まれるよう動き回る。

「やまのかみ」ではなく「やまのかみがみ」にしました。そのほうがニュアンス的に良いかなぁと思って。きっとこの他にもたくさんの神々が御嶽山には宿っているのでしょう。

制作の裏話?をすると、普段の切貼民話では最低でも3つ以上の素材を合成させて1つの作品を創っていますが(特にそう決めているわけではなく、しっくりくるものを創った結果、そうなっていることが多い)、今回の「やまのかみがみ」たちは「これ以上の組み合わせは生まれない!」と制作をストップしたものたちです。きっとこれが完成形だとこの子達が訴えかけたのでしょう。サイズが小さめだったため3つ並べた結果、「そういえば『やまのかみ』って絶対『やまのかみがみ』だよなぁ」と思い始め、こうした切貼民話となりました。

まとめ

以上、御嶽山〜武蔵御嶽神社の切貼民話でした。まだ素材はたくさん残っているものの、今のところまだピンとくる組み合わせが見つからないため保留となっています。もしかしたら新たな切貼民話が生まれるかも知れません。

大口真神式年祭に合わせて初めて訪れた御嶽山。おいぬさまをはじめ、様々なエネルギーをいただくことができました。またぜひ訪れたいです。

次回の切貼民話からは再び山梨の民話に因んだ場所を訪れて制作を行なっていきたいと思いますのでお楽しみに!


最後までご覧いただきありがとうございました😊

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