良質な患者体験を提供する
最近はCS(カスタマーサティスファクション:顧客満足)よりCX(カスタマー・エクスペリエンス:顧客体験)を重視する企業も増えてきたと聞きます。
顧客の満足には、商品の機能や価格に「合理的に満足する」ことと提供される一連のサービスに対して「感情的に満足する」2種類が含まれていて、前者は不満を持つ顧客とあまり変わらないが、後者の方が企業に収益をもたらす行動をとると言われています。CSはこの2種類を同時に評価するものであり、より「感情的に満足する」という視点に絞ったのがCXと言うことになります。医療でいえば患者体験、つまりPX(ペイシェント・エクスペリエンス)ということになるでしょうか。
CX戦略に欠かせないNPS(Net Promotion Score)
NPS(Net Promotion Score)は非常にシンプルな指標であり、
「この商品(サービス)を親しい友人や知人にどの程度すすめたいか?」
を0~10までで選んでもらい、9、10点をつけた人(推奨者)の割合から0~6点をつけた人(批判者)の割合を引いたものです。これがCXを計測する指標となります。
これからのクリニックにもPX戦略が必要だ
以前投稿した記事でも申しあげましたが、これからの小児科クリニックは高回転で患者をさばいていくスタイルではなく、患者さんのクリニックへのロイヤルティーを醸成していくことが必要だと考えています。このことはまさにPXを重視していることに他なりません。
当院のNPS活用事例
当院では、1年に1回のリレーショナル調査として患者さんにアンケートを実施しており、その中でNPSの測定も行っています。経年的なNPSの変化を追跡するのも勿論のこと、年齢別や当院を選んだ受診動機毎にNPSを評価して、どういった改善が必要かを検討し、可能な限り実行しています。
クリニックのアンケートは自由記載欄に一喜一憂して、それで終わりみたいになってしまうことが多いですが、定量的な分析をしっかり行ってフィードバックしていくことも必要です。勿論そのために、しっかりとしたアンケート設計を行っておくことは言うまでもありません。
スタッフ一人一人のPXへの取り組み
クリニックのシステムをがちがちにしてしまうと、満足する人もいるものの、一定数は不満足な人も存在してしまいます。PX向上のためには、基盤となるシステムを構築した上で、患者さんの接点となるスタッフ一人一人が自律的に判断してその人に応じた対応ができる柔軟性が必要となってきます。このような自律性をもって働ける環境を作ることが、クリニックの長としての責任だと思っております。