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老舗の天ぷら屋マインド

「シマトさんは、初めっから“もう完成したもの”や“出来上がったもの”を求めすぎ」
そう指摘された。とあるリストを共有してほしいと、その業務の主担の先輩にお願いした時のことだった。
「自分でいちからやってみないと」

曰く、既存のものを求めるな、いちから調べて己でリストを再構築せよ、と言う。長い目で見て、それが私の力になると言う。

先輩の仰ることも分かるような、分からないような…。
でも正直、
(もう出来上がったものがあるのに、同じものをわざわざいちから作り直すなんて、私の時間と私に払われる給料、めっちゃもったいなくない!?)
って、思っちゃったんだよね。
そのことで、ここ数ヶ月ほんのりとモヤモヤし続けてたんだけど、この記事↓を拝読して、やっとこのモヤモヤを言語化する材料を得た気がする!

先輩は、正にこの老舗の天ぷら屋タイプなんだと思うねん。「コイツなら」と認めた者にしか教えを授けたくない。まずは俺に認められるために自力で頑張ってみろよ、と。

一方私は、集団の中で獲得・蓄積した知は即座に惜しみなく全体に共有するのが望ましい、と思っているタイプ。誰かが一番先に新しい境地に到達したなら、さっさと情報共有して集団全体の現在地点を引っ張り上げた方が良いじゃない。既に世の中的には解けてる問題に躓いて、前に進めないでいる人が目の前にいるのに、あえて教えず知らんぷりなんて、意地悪じゃない?
だから、私の知識で良いなら喜んで包み隠さず提供するし、逆も然りで、色んな人の経験値を吸収させてほしいと思っている。
…でもこの考え方も、ただ一つの正解をみんなで求めて突き進む、理系出身だからこそなのかも。まず、「世界で一番早く解に到達した」こと自体に価値がある世界だから。しかも私の出身分野って、全くお金にならない(笑)基礎研究だったからか、研究者間の権力争いとか研究成果の隠匿とか、全然なかったんですよ。夫含め、研究者みんな超ピュア。超無邪気。「これ解けた人ー?」「俺!俺!俺解けたーーー!」「スゲーー!解き方教えてーー!!」…みたいな(笑)。

んー、老舗天ぷらタイプの人と私では、「固有の経験値の共有方法」について、かなり認知の差があるんだよな、多分。

本当に「秘伝の技術」というのは、自分が「これだ」と見込んだ人にしか教えない、というのはお店の姿勢としては非常に真っ当であり、生き残ってきた証拠だと思う。

少し前にプチ炎上した天ぷら屋さんの話

そうだよね〜…。
その「技術」や「経験値」が自分の飯のタネであり、外部に漏れると自分が優位性を失うような性質の場合は、そりゃカンタンに出せないわな。

今回のモヤモヤは、結局、お互い様なのかな。天ぷら先輩にとって、今の私は教えを授けるに値する人間ではないし、私の方も、別にそこまでして先輩の教えを伝授してほしい(=気に入って可愛がってほしい)と思ってないし。

「指導が気に入らないからって逃げるの?甘えてる」とか、「そんなんじゃ成長しない」とか、内なる自分が言ってくるけど一旦無視することにする。。自分の不快感に耐えながら、我慢して好きでもない人と付き合うほど、人生って長くなさそうだし。

おわり🍵

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