散文短歌 #2 「もはや前世の記憶。」
小学生の頃、よく図書室に通い本を読んでいた子らしい。
職場にバイトで来ている年配の女性がいた。どこかで会った気がする。声を掛けようにもなんて話し掛ければよいか悩む。せめてマスクを外して顔全体が見れたら思い出せそうな気もする。同級生の母親、元バイト先の、うぅーん。あとちょっとで思い出せそうだけど、思い出せない。数日が経った頃、仕事終わりに駐車場でその方と遭遇した。マスクを外していた。
ああぁぁぁー!
って思わず声が出たと思う。心の声が漏れたと思う。だって思い出せず、ずっとモヤモヤしていたんだもん。その方は小学校の図書館司書の方だった。向こうも自分の事を覚えてくれていた。名乗る前にフルネームで呼ばれたのだ。もう、四半世紀前よ。田舎の学校で人数も少なかったからとはいえ、覚えてくれていただけですごい。驚いていたら「だってあなたはよく図書室に通っていたでしょ?たくさん本も借りてくれたし、それで覚えているの。今はどんな本を読んでいるの?」と言われた。記憶に無いが、どうやら読書家だったらしい。あぁ、タイトルは思い出せないけどなんか夢中になって読んでいた。ふわっとした記憶が蘇る。
残念ながら、全く読書をしていない。正直に伝えた。驚かれはしたが、「本は人生を豊かにするよ。」と言葉に掛けてくれた。少しずつではあるが、その言葉がきっかけで再び読書熱が復活していった。エッセイやフィクション、ぶっ飛んだストーリーの本が好き(朝井リョウさん、村田沙耶香さんとか最高す。)で、休日に本屋巡りもするようになった。本当は読了後、感想とか書いてアウトプットしたいけどそんなに器用じゃない。語り合いたいが、語彙力も表現力も乏しい。盛り上がらず、楽しかったって感想で終わりそうな気がして。まずは読むことを楽しもう。
「思い出を軽く炙って出た煙 目にはしみるが涙は出ない」
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