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マミートラックからも脱落した主婦の叫び

総理大臣の「育休中に学び直し」が物議を醸し出している。そんな中、「マミートラック」というあまり聞き慣れない言葉を目にする。
マミートラックとは仕事と子育ての両立はできるものの、昇進・昇格とは縁遠いキャリアコースのことを指す。


育休から復帰すると、子なしの時のような働き方をすることは難しい場合も多い。責任のある仕事を任せられなくなったり、部署移動されたりとすることもある。
これらは、平成 21 年に厚生労働省から発表された指針で「育児休業及び介護休業後においては、原則として原職又は原職相当職に復帰させることが多く行われているものであることに配慮すること。」とされており、本来は女性が育休復帰しやすいように配慮されるべきである。しかし、まだまだ現状と理想が足並みを揃え切れてないのが現状ではないだろうか。
とはいえ、仕事をしている母親でも、仕事への姿勢には温度差がある。

大きく分けて「子育てを優先、仕事は適度に派」「本当は仕事に熱中したい、子育ては責任感でやる派」だ。
前者は子どもを持つというライフスタイルに合わせて、働き方や職務内容を変えることに比較的抵抗が少ないグループ。納得して現在のワークライフバランスに落ち着いていることもあり、仕事への不満に関しては、ストレスが少ないことが多い。

対して後者の「子育ては責任感でやる派」は、本来仕事をバリバリこなしたくても子どもがいたり、子育てのサポートが得られずそれが困難になっているケース。この場合、現状のモヤモヤが募っていく。
私は、まさにこちらのタイプだ。
職場復帰し、今まで仕事を通じて、自己実現をしていた自分に気づいた。子育てしながらの仕事は、最後までやり遂げられないまま保育園のお迎え時間になったり、月1のペースで熱を出したりと今までの仕事の仕方ではうまくいかない日々が出てくる。
それを繰り返していくうちに達成感ややりがい、期待されていたことをゼロにされたような思いを抱え、充分に力を発揮できない歯痒さを抱えていく。

冬には真っ暗な中迎えに行くと保育園には我が子しかおらず、くたくたな中夕ご飯にお風呂、寝かしつけと息つく暇もなく朝がやってくる。体も心も疲弊し、パート勤務に切り替えた。しかし、誰でもできるような簡単すぎる仕事では「自己実現できない=自己肯定できない」ことになり、やる気がどんどん失われていった。

1.子育てと仕事の間でぐちゃぐちゃになっていく心

「仕事に熱中したい、子育ては責任感でやる派」は、子どもが嫌いなわけではない。子どもは大切だ。それどころか、「子どものせいで、仕事ができない」と足かせのように思うことのある自分がイヤで、そんなことを思ってはいけないと考えて苦しくなり自己嫌悪に陥る。

自分とは対極にいるような「子育て=人生の喜び」と感じられる母親をうらやましく思い、「自分は子育てに向いてない」と落ち込んだりもする。
「子育てだけで幸せになれない自分」「もっとちゃんと仕事をしたい自分」「夫がうらやましい自分」「結果的に、体力的と時間的にできない自分」という悶々としたスパイラルから抜け出せず、自分のお尻を叩きながら仕事をやってみては結局パンクしたりとしてきた。

そして日々の育児と仕事と家事で身体は「休みたい」でも心は「子育ても仕事もちゃんとしたい、頑張らなければ」とぐちゃぐちゃな状態が、入れ替わり立ち代わりし、満たされない日々が過ぎていく。

2.ぐちゃぐちゃな日々から解放される為にサードプレイスを見つける

今、考えると、ゴールなんてない様にさえ思えるトラック。走り続ける日々を解消する為、私がとった行動。それは、自己肯定感を高めるための場所を見つけることであった。

「やりがいのある事や話せる場所をみつける」マミートラックに入っている母親たちでもそれぞれ抱えているモヤモヤの程度によって方法は異なってくるだろう。考えられるモヤモヤの状態を大きく分けて4つあげてみた。

1.日々の子育てでイライラすることはあるが、特に大きな不満はない
対策:息抜き的な趣味を見つける。
  (アクセサリー制作、読書、写真、ジム通い、SNS更新など)

2.たまにふと、この1年で自分は何をしたのだろうと虚しくなることがある
対策:積み重ねてやっていることが目に見えるものを始める
(資格の取得、オンラインスクールに通う、本格的な肉体改造など)

3.子どものことは好きだが、子育てよりも仕事が好き。だが今の仕事は物足りない
対策:負荷は高いけれど、その分やりがいと見返りが高いものを探す
(副業を見つける(場合により職場に要相談)、起業する、コミュニティを立ち上げるなど)

4.育児より仕事が好きで、思う存分働ける夫がうらやましい。子どもに関わる時間が減ってもいいので、もっと張り合いのある仕事をしたい
対策:ライフスタイルを大幅に見直す必要があるかもしれません。
(家族会議をし、子育て資源(両親、シッター等)を確保し、転職・起業など)

時間的、体力的に余裕のないアラフォーの子育て世代であっても、みんなそれぞれ多様な悩みがあり、ライフスタイルがあっていいはずだ。アラフォー母親の自分探しや、やりがい探しは、家族を巻き込むことになる。しかし、言いかえれば「巻き込まれてこそ家族」なのだ。

まだまだ「3歳まで母親は子育てに専念したほうがいい」といったそんな“3歳児神話”が根強く信じられている日本社会。社会的批判が伴うこともある。しかし、母親が生きがいを確立していくことで、日々を健康的に過ごすことができる。そうしていくうちに、子どもたちの家庭環境が過ごしやすくなっていくだろう。

3.母親は我慢するのが当たり前をぶっ壊したい

私は、子どもが不登校になった時、正社員の仕事を辞めざるを得なかった自分と全く仕事を変えず働き続ける夫と比較しては羨ましく妬ましく思っていた。なんで自分だけが我慢しないといけないのか?と。
働けば働くほど、子どもの行きしぶりは悪化していき、マミートラックにさえ乗れない主婦となった。

記事の中に書いた「巻き込んでこそ家族」という言葉。私の中にもあたりまえに「子どもに何かあれば母親が家にいるべき」という概念があった。

1年前に入ったオンラインスクールSHElikesで様々な価値観の人々に出会い、「女性が我慢するのが当たり前の自分の考えをぶっ壊して前に進みたい。」と考える様になった。

家族なのに、「母親だけが我慢するのはおかしい!家族みんなで考えて解決するべき」と家族会議を開いてみた。
しかし、母親が我慢するのが当たり前なんて思っていたのは自分の思い込みであったことに気づく。この会議をきっかけに、夫も働き方を考え、私もまた仕事復帰に向けて動き出すことになった。

東京大学経済学部の山口慎太郎教授は、「生後、母親と一緒に過ごした期間の長さは、子どもの将来の進学状況や所得などにはほぼ影響がない。“3歳児神話”には根拠がありません。子育ての常識は文化や世代によって変わります」
PRESIDENT ONRINEより引用

母親のタイプも夫婦のタイプもさまざまである。つまり、誰にでも当てはまる子育てのアドバイスは医学的なことを除いてあまりないのだ。時代によって変わっていく母親像や子育ても、まわりに振り回されず、私らしく育んでいくことで、結局は家族みんなの幸せや働きやすさに繋がっていくのかもしれない。





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