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「思考の整理学」を読んで

おそらくもう70歳くらい?の人生の先輩からのオススメ図書。

30年以上前に出された本ですが、今でも多くの人の支持を得ているようです。
ものを考えるとはどういうことか。
頭の中を上手に使い、賢く生きる知恵が詰まっています。
以下、読んだ内容をまとめます。

★グライダー兼飛行機のような人間となる
・これまでの日本の教育は「グライダー人間」を育てるためのもの
・コンピューターという優秀なグライダーが現れた
・自力で飛べる「飛行機人間」となる必要性

★思考の純化
・重要なものを残し、そうでないものを廃棄する量的処理ではなく、
・思考、着想を整理・統合・抽象化し、体系にまで高める
・平面的で量的なまとめではなく、立体的、質的な統合が大事
 (e.g.ことわざ:経験による煩雑な考えを普遍性の高い形でまとめている)

★倉庫ではなく工場に
・頭脳は知識を蓄積する「倉庫」ではなく、
 新しいことを考え出す「工場」であるべき
コンピューター=倉庫人間の頭=知的工場

★“忘れる”ことの重要性
・工場内の整理のために、食べて消化して吸収したら残りは体外へ排出
・価値観に基づいて“忘れる”ことで、頭を高能率の工場に
・自然に直感的に「要・不要」を区分けして新陳代謝をしている
・おもしろいと思うことは些細なことでも忘れない
・自分の価値観をしっかりと持つことが重要
・関心・興味・価値観によって意識的に“すてる”ことが「整理」

★鞍上・枕上・厠上
・車や電車の中
・朝目覚めて枕の上で
・トイレ中
いいアイデアが閃きやすい状態

★第一次的現実と第二次的現実
・第一次的現実=物理的現実
・第二次的現実=知的活動によって頭の中にできたもう一つの現実世界=読書・テレビ
・境目はわかりづらく、第二次的現実を第一次的現実と錯覚しがち
・第二次的現実中心に生きるようになっている
・第二次的現実から生まれる思考は抽象的になってことばの支持する実態があいまいになる傾向
・行動と知的世界をなじませる必要がある

★既知・未知
・三つの知的活動
①既知のことを再認する
②未知のことを理解する → “解釈”
③まったく新しい世界に挑戦する → e.g.漢文の素読

★人間の創造的思考
・知的活動→これまで:記憶と再生が中心
      これから:創造性が必要

【感想】
1986年に出版された本ですが、現在にも通ずる大事な考え方がまとめられていると思いました。
当時はまだインターネットが普及していなかったため第二次的現実に「インターネット」は含んで語られてはいませんが、最近問題になっているSNSの炎上などはおそらくネット上の第二次的現実が第一次的現実を圧倒し、ことばの「解釈」が足りないために起きているのだと思います。

また、本書で30年前から言われている「創造的思考」の重要性は、今なお課題であり続けています。
テレビやネット上で誰かに作られた価値観ではなく、自分の価値観をしっかりと持って、それに基づいた選択・判断をしていくこと。それが社会的有用性の高い人間になるために必要なことです。
“どういうことが機械にはできない創造性なのか。芸術や学問だけでなく、本当の人間を育てる教育、スポーツ選手を育て上げるコーチ、セールスや商売も。” あらゆる場面で、成果を上げるためには「自分で考える」ことが求められるのだと思いました。
ブランドもの、結婚式、インスタ映え商品、ライフスタイル、進路選択。様々な面でマーケティングや他の大きな力によって無意識的に植え付けられた価値観に影響を受けている私たち。それを一度立ち止まって、本当に自分が欲しているものなのか考えてみる必要があるのではないかと思います。

そして、自分の価値観でもって生まれる考えをより純度の高いものにするために、考えを寝かせたり、メモったり、喋って笑ったり、など様々な手法もあります。先人の知恵を借りながら、「知る・記憶する・考える」という自分の脳内の働きをバランス良くし、気楽に賢く楽しく生きたいなと思います。

この本を読んだ知的活動を第二次的現実にとどめておかないために、noteに書きました。
同じ人からのもう一冊のオススメ図書についてはまた後日。

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