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tanpoporin
坂上 香『プリズン・サークル』
対話による更生を目指す刑務所の話。この本について知り、発注したときはどこか外国の話だと思い込んだ。本書を開いた瞬間、これが日本で起こった話だと知って驚いた。一瞬希望を感じ、しかしそこに描写されている日本社会の現実に打ちのめされながら、最後まで読むのをやめられなかった。
日本での受刑者の処遇は、国連や人権団体から繰り返し批判され、勧告を受けているそうだ。それは塀の中だけの特殊な話ではない。犯罪の前に、さまざまな事象の蓄積があるように、塀の外にもその萌芽がたくさんある。家庭・学校・会社でアタリマエだと見過ごされたり無かったことにする日本式システムについて、今一度考えて行動を起こさねばという気持ちになった。
「アボリション運動(Abolition Movement)」という行動にも、大変興味を持った。シーンとしては全く異なるが、僕が「旅と平和」に関する修士論文において書いたことと対話する刑務所の話は同じ考え方だった。排除より包摂。出会うこと、話すことが絶対的に大事。
「受刑者が黙って食事をしたり、作業したりする場面、娘の学校とそっくり!」
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