シリーズ最後の冒険が始まる『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』(2023年)感想
★3/5(劇場にて鑑賞)
過去の冒険が蘇るオープニング
「インディ・ジョーンズ」シリーズ独特のフォントやらナチスドイツが相手やら、『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(以下、『レイダース』)及び『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(以下、『最後の聖戦』)を彷彿とさせるオープニングで興奮しました。この目でまたインディ・ジョーンズの活躍が見られるなんてと思い、感動すらしました。車両の外側を兵士達が伝って来るシーンなんかは、『レイダース』におけるトラックの奪い合いと重なって見えました。感無量です。
…ところで、パラマウントピクチャーズのロゴとオーバーラップするのがお決まりのはずですが、今作ではそれがありません。いくら夢と魔法の国がルーカスフィルムを買収したからってそれはいかんでしょ(呆れ)。
敵が良し
マッツ・ミケルセンが素晴らしいのは言うまでもありません。いかにもインテリって雰囲気や冷酷な性格、目的達成への執念など台詞が無くとも十分伝わってきました。加えて、屈強な部下たちも躊躇なく人を殺すところがプロって感じがして好印象です。パレードのシーンで、バイクやオープンカーを力技で奪うのがまた良かったです。彼らの服装も、また魅力の一つに思えました。マッツ・ミケルセンの喫煙シーンや死体の描写、ナチスドイツの残党と思しき設定など、今時の映画にしては本格派なのが益々気に入りました。
主人公たちはというと…
まずコソ泥のガキが目障りでした。作品の雰囲気とマッチせず邪魔です。終盤でセスナを操縦させる為か、ファミリーでも見やすいようにする為にぶち込まれたとしか思えません。ヘレナはヘレナで、身体能力が高く暗号も読めてしまう為、我らがインディ・ジョーンズ…いや、ヘンリー・ジョーンズJr博士の存在感を薄めてしまう始末です。アントニオ・バンデラスに至ってはエンドロールが流れて初めて気がつきました。
サラー、元気だったかい?
逆に、サラー(ジョン・リス=デイヴィス)の出演にはグッときました。『レイダース』以来の古参キャラですが、今作では中東戦争の煽りを受けてアメリカに亡命してきたと語ります。サラーも苦労したんだね…と感情移入してしまいます。また、空港にて「砂漠や海が恋しい」的なことを言うのも良かったです。過去のものとなった冒険や遠くの故郷を思っての台詞に、思わずしんみりしてしまいます。その分、ラストシーンでまたその陽気な姿を見ることができ、ホッとしました。
今回のお宝について
アンティキティラのダイヤルですが、悪くなかったと思います。シリーズ初めての潜水シーンあり、いかにもな古代の墓ありと舞台も納得でしたし、古代ローマのオーパーツというのも、なかなかロマンがあっていいのではないでしょうか。考古学者でありながら、成り行きでタイムスリップしてしまうという展開も、大胆で私は好きです。欲を言えば、古代ローマ以外も見たかったなというところです。それから、飛行機を墜落させずに返して、「飛行機の中から朧げに見えたあの光景は、夢か現か果たして…」的なロマン全振りの展開も妄想してしまいます。とにかく良かったと思います。
おわりに
総じて言えば、本作は蛇足…と言わないまでも、おまけ的な立ち位置になるかと思います。過去作へのオマージュや魅力的なキャラクターの登場、ダイヤルの思い切った設定など良い点はあるものの、肝心の主人公たちがそれに伴っていないような気がしました。前作をそこそこ綺麗に締めた結果、やや本作が浮いている印象です。
そうそう、オマージュといえば、『最後の聖戦』で終盤に登場する3つ目の試練(谷に架けられた見えない橋に向かって一歩踏み出すやつ)を解くヒントになったメモ書きが暖炉の上に飾ってありましたね。感動しました。
以上
一言
ジョーマローンの香水が欲しいです