HSPの私はスモールハート
【スモールハートって何？】
「スモールハート」とは、文字通り「小さい心臓」という意味です。この言葉を聞くと、「小心者」という言葉を連想する方もいるかもしれません。「小心者」は、気が小さくて臆病な人を指す表現ですが、今回は比喩的な意味ではなく、実際に心臓のサイズが小さいことが気分や情動にどのような影響を与えるのか、お話ししたいと思います。
【ネガティブな自分がしんどい】
私は、物事をネガティブに考えることが多く、小さなことでくよくよ悩んだり、人の顔色を気にしながら生活したり、将来のことを心配して不安で眠れなくなることがよくあります。そんな自分がしんどくて、20代のある日、思い切って心療内科を訪ねました。
【心療内科での診察】
診察では、まず問診票に記入しました。その後、検査室に案内され、立った状態、座った状態、横になった状態でそれぞれ血圧を測定しました。また、エアロバイクを漕ぎ、その前後で心拍数を計測。さらに胸部のレントゲン撮影も行いました。心療内科といえばカウンセリング中心だと思っていたので、まるで内科検診のような検査内容に驚きました。
検査の後、精神科の医師の診察がありました。その時、医師からこのように言われました。
「胸部レントゲンをみる限り、あなたの心臓は、平均的なサイズより少し小さいですね。これを『スモールハート』といいます。おそらく、心にストレスを感じやすいのはこのスモールハートが影響しているのでしょう。また、あなたは起立性低血圧です。起立時には重力の影響で血液が下半身に移動し、脳への血流が減少しますが、心臓が小さいと血流を速やかに補う能力が不足しやすく、血圧低下やめまいが起こるリスクが高まります。」
さらに医師は続けました。
「スモールハートの方は、心臓が普通のサイズの方より心拍数が早くなる傾向があります。この心臓の『オーバーワーク』が自律神経のバランスに影響を与え、交感神経が優位になりやすいのです。その結果、ドキドキしたり緊張しやすくなったりします。また、副交感神経の働きが抑えられるため、気持ちを落ち着けるのが難しくなることもあります。」
医師からの説明を聞いて、私の気分低下や不安が「心臓の大きさ」という身体的な要因と結びついていると知り、自分のことを少し客観的に見られるようになりました。
【対策としてできること】
スモールハートは、病気でも症状でもありませんが、心の不調を緩和する方法とその理由について、医師から次のようにご指導いただきました。
☑️適度な運動
定期的に激しい運動をしてる人によく見られる「スポーツ心臓」は、心臓が激しい運動に適応して肥大した状態のことを言います。 心臓が肥大すると、一度に送り込める血流量が増大して疲れにくくなり、心拍数も平均値より低くなります。激しい運動は推奨しませんが、定期的に運動を取り入れることで、心臓が大きくなり、人前に出ると過緊張で赤面症になっていた人が改善したというケースも実際にあるそうです。
確かに、
オリンピックに出場するようなプロアスリートは、多くの期待を背負い、結果を出さなければならないという極度のプレッシャーの中でプレーしています。彼らのそのメンタリティの強さはもしかしたら、運動によって培われた心臓の強さとも関係しているのかもしれません。
他にも運動をすることにより、
・ストレス時に分泌されるコルチゾールなどのストレスホルモンのレベルを下げる。
・エンドルフィンと呼ばれる「幸福ホルモン」が分泌され、気分を高揚させ、リラックス効果をもたらす。
・ジョギングなどの有酸素運動をすることで、脳内の神経成長因子（BDNF）が増加し、ストレスに柔軟に対応する脳の機能が向上し、不安感やうつ状態を軽減する。
などの効能が期待できるとのことです。
☑️呼吸法
深呼吸、特にゆっくりとした腹式呼吸を行うと、リラックスした状態を司る副交感神経が活性化します。この神経が働くと、心拍数が減少し、血管が拡張します。
息を思い切り大きく吸ったら、口をすぼめて、吸う時の3倍くらいの時間をかけてゆっくりと細く長く息を吐くのが効果的だそうです。
🍀おわりに
すぐにくよくよしたり、臆病になったり、人目を気にしてしまうのは、自分の心の弱さが原因だと、ずっと思っていました。しかし、心の強さや弱さといった目に見えない曖昧な尺度ではなく、「スモールハート」という身体的な特徴が結果として不安定な精神状態や行動特性につながることもあると知り、気持ちが楽になりました。
そして、いつも一生懸命頑張ってくれている自分の心臓に、「ありがとう」と心のなかで呟きました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました！
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