街の隅のマイノリティ『東京ゴッドファーザーズ』が重くも軽くも沁みる
2回め鑑賞。
最初はフランスの図書館で借りてみた。2回目はNetflix で。日本のマイノリティをこういう形で描いてくれたこと今は亡き今敏監督に感謝。日本にはこういう作品が埋もれているのか。Netflixありがとう。これがなぜ海外向きなのか、少しだけ書いてみますね。クリスマス映画なので一ヶ月遅いですがレビュー
宗教やカルトの存在
最初、クリスマスイブのホームレスのためのキリスト教救済ミサから始まる。配食目当てのホームレスがふたり。これだけで海外向きだなってピンとくるよね。
詳細に描かれた東京。非キリスト教国日本でのキリスト教はどこか気まじめで、どこか浮く。それをうまく描いている。色物のオカマが見事にこのドラマを明るく誇張ながらも見やすい作品にしている。もちろん2Dのアニメ技術もすごいのが素人ながらわかる。物語のありえない偶然がテンポよく心地いい。
都会の社会問題羅列
3人のホームレスが雪の降るクリスマスイブに見つけた捨て子を巡るドタバタ劇。ホームレスというマイノリティを描いてるところで、食指が動く。貧困、中学生によるホームレス狩り、家出少女、肥満、無関心、街をいろどる無機質な広告、(広告の意味がわかる日本語話者には余計その言葉が虚しい)家族とはの問い、・・いわゆる説明が画面を読み取ることでわかるのもこの映画の特徴。しっかり読まないと流れがつかめなくなる。
甘いところ
このみゆきちゃんが性的にまったく搾取されないことがフェアリーテールぽくって現実っぽさにはかける。そしてまたもしかしたらそれが2000年前後だったのかな。女性は誰でも赤ちゃんを欲しがるという妄想もちょっときつかった。
スマホ普及前夜の日本の価値観。20年前なんだけどインフラはかわってない。やはり日本は2000年前後が経済的頂点だったのかもしれないと思わせることも今見ると虚しい。
日本語歌詞
フランス人は「きよしこのよる~♪」や「ろくでなし」ベートーベンの日本語版でウケるっぽい。
今や着ているものも世界同時のファーストファッションですし、時差もなく、都会の社会問題の共通性はどの国も同じでそれを面白おかしくマイノリティー視線から描いた秀作と言えるでしょうね。大好きです。