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膝OA患者の運動療法の治療成績に関わる要因は?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

変形性膝関節症の参加者で、理学療法の教育と運動が有効である可能性が高い人を特定すること-仮説構築型の研究

Tanaka S, Nishigami T, Wand BM, Stanton TR, Mibu A, Tokunaga M, Yoshimoto T, Ushida T. Identifying participants with knee osteoarthritis likely to benefit from physical therapy education and exercise: A hypothesis-generating study. Eur J Pain. 2021 Feb;25(2):485-496.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 結論
身体知覚の乱れが少なく、「KL grade I」の膝OA患者は、他の参加者に比べて運動療法による治療成績が有意に良好であることが示された。

[背景]
本調査の目的は、運動に対して肯定的な反応を示す可能性が最も高い変形性膝関節症の人を特徴づける候補変数を特定するための仮説生成研究を行うことであった。

[方法]
この観察的縦断研究には、変形性膝関節症の患者150名が参加した。参加者全員が、20分間のセッションを週に2~3回行う標準的な運動介入を3カ月間行った。臨床転帰の予測には、分類・回帰木法(CART)が用いられた。痛みと障害のポジティブな転帰(従属変数)は、痛みの強さが50%以上改善した場合、またはOxford knee scoreで5点以上改善した場合と定義した。予測変数としては、年齢、性別、肥満度、変形性膝関節症の重症度(Kellgren/Lawrenceグレード)、痛みの持続時間、薬の使用、膝の可動域、痛みの破局化、自己効力感、膝の自己認識などを考慮した。

[結果]
痛みの強さについては55名(36.6%)が回答者に分類され、障害については36.6%が回答者に分類された。CARTモデルでは、膝の自己認識の障害と変形性膝関節症の重症度が、運動後の痛みの強さの軽減の識別因子として同定された。運動後の障害レベルの軽減を予測する変数はなかった。

[結論]
このような知見は、身体認識と変形性関節症の重症度の両方が、運動による治療結果に役割を果たしている可能性を示唆している。また、身体知覚の乱れが大きい人は、運動を行う前に身体知覚の回復を目的とした追加治療が必要になる可能性がある。

[意義]
年齢、性別、肥満度、疼痛期間、投薬の有無、膝関節可動域、疼痛悲観、自己効力感に関わらず、身体知覚の乱れが少なく(FreKAQスコア≦17)、構造的変化が少ない(KL grade I)変形性膝関節症の参加者は、他の参加者に比べて運動療法による治療成績が有意に良好であることが示された。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅FreKAQは膝OA患者の身体知覚を評価する。そしてこの評価は運動療法の効果に関連するから、X線所見と共に評価することが推奨されるだろう。

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FreKAQ-J(日本語版FreKAQ)に関しては、以下の記事・論文が参考になるため紹介させて頂きます。

Nishigami T, Mibu A, Tanaka K, Yamashita Y, Yamada E, Wand BM, Catley MJ, Stanton TR, Moseley GL. Development and psychometric properties of knee-specific body-perception questionnaire in people with knee osteoarthritis: The Fremantle Knee Awareness Questionnaire. PLoS One. 2017 Jun 26;12(6):e0179225.

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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