膝OA患者の疼痛の破局的思考は、階段昇降能力を低下させる
▼ 文献情報 と 抄録和訳
変形性膝関節症の人の階段昇降能力に影響する痛みの破局感
Suzuki Y, Iijima H, Aoyama T. Pain catastrophizing affects stair climbing ability in individuals with knee osteoarthritis. Clin Rheumatol. 2020 Apr;39(4):1257-1264.
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
✅ 結論
膝OA患者の疼痛カタストロフィーは、階段昇降能力の有意な低下を示した。階段昇降能力が低下した膝OA患者のリハビリテーションにおいて、疼痛カタストロファイの影響を考慮する必要がある。
[目的]
変形性膝関節症(OA)患者における痛みのカタストロファイと体重負荷を必要とする日常生活動作(ADL)、特に階段昇降、座位からの起立、歩行の能力との関連は明らかではない。本研究では、変形性膝関節症(OA)患者を対象に、疼痛カタストロファイとこれらのADL遂行能力との関連を調べることを目的とした。
[方法]
この横断的研究では、膝関節症(Kellgren and Lawrence grades 1-4)の個人を対象とした。ADL遂行能力は,膝OA関連健康領域測定法(Japanese Knee Osteoarthritis Measure)を用いて評価した。痛みの破局は「痛みの破局尺度」を用いて評価した。疼痛カタストロファイジングとADL(特に階段昇降、座位からの立ち上がり、歩行)能力との関連は、ロジスティック回帰分析を用いて評価した。ロジスティック回帰分析の結果を検証するために、3種類の感度分析を行った。
[結果]
合計151名の参加者が最終的な分析対象となった。共変量で調整すると,痛みの破局を伴う人は階段昇降能力が有意に低下していた(オッズ比8.84,95%信頼区間1.37~56.92)。さらに、感度分析を行っても結果は変わらなかった。一方、共変量で調整すると、痛みの破局を伴う人は、座った状態から立ち上がる能力や歩行能力の有意な低下は見られなかった。
[結論]
膝OA患者の疼痛カタストロフィーは、階段昇降能力の有意な低下を示した。階段昇降能力が低下した膝OA患者のリハビリテーションにおいて、疼痛カタストロファイの影響を考慮する必要がある。要点-膝OA患者の疼痛カタストロファイは、階段昇降能力を有意に低下させた。座った状態から立つ能力と歩行能力は、疼痛カタストロファイの影響を受けなかった。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
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✅痛みに対する破局的思考は、実際ADL上のどの場面の能力低下と関連するのか、これを理解することは非常に重要だと思う。今回の論文では、膝OA患者の疼痛の破局的思考は、階段昇降動作の低下と関連することが示された。各患者によって、破局的思考とどの動作の能力低下が関連しているかは多少の誤差があると思う。しかし、こうした研究によって破局的思考に対するアプローチを行う上で、”ターゲット”を絞りやすくなると感じた。
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その他、破局的思考に関連する研究では、以下の記事も紹介している。
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