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コーヒーと褐色脂肪細胞

▼ 文献情報 と 抄録和訳

カフェイン酸とクロロゲン酸は相乗的にヒト脂肪細胞の褐色化プログラムを活性化する-AMPKおよびPPARを介した経路との関連性について

Vasileva LV, Savova MS, Amirova KM, Balcheva-Sivenova Z, Ferrante C, Orlando G, Wabitsch M, Georgiev MI. Caffeic and Chlorogenic Acids Synergistically Activate Browning Program in Human Adipocytes: Implications of AMPK- and PPAR-Mediated Pathways. Int J Mol Sci. 2020 Dec 21;21(24):9740.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

✅ 前提知識
脂肪細胞には「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」の2種類がある
白色脂肪細胞=「蓄える機能」
┗一般的に脂肪細胞と呼ばれているもの
 白色脂肪に脂肪を溜め込むと太る、肥満になりやすい
褐色脂肪細胞=「燃やす機能」
┗白色脂肪に溜まってしまう脂肪を燃焼する
 熱として放出

✅ 結論
カフェ酸(CA)とクロロゲン酸(CGA)が含まれるコーヒーや茶は、褐色脂肪細胞を活性化させる可能性がある

[目的]
カフェ酸(CA)とクロロゲン酸(CGA)は、コーヒーや茶の摂取による代謝作用に関与すると主張されているフェノール化合物である。これらは構造的な類似性とともに、AMP-activated protein kinase (AMPK) シグナルの活性化といった共通のメカニズムを持っています。本研究では、ヒト脂肪細胞において、CAとCGAを共同処理することによる抗肥満効果を調べることを目的とした。

[方法]
CAとCGAの主要な脂肪生成転写因子との分子間相互作用を、in silicoの分子ドッキングアプローチによりシミュレーションした。白人および褐色脂肪細胞マーカー、脂質代謝関連遺伝子の発現レベルを、リアルタイム定量PCRおよびウェスタンブロット分析により解析した。

[結果]
メカニズム的には、CA/CGAの組み合わせは、転写レベルとタンパク質レベルの両方で、脂肪分解を誘導し、AMPKと褐色化遺伝子の発現をアップレギュレートし、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ(PPARγ)をダウンレギュレートした。CA/CGAを塗布した脂肪細胞の遺伝子発現プロファイルは、褐色様シグネチャーに強く類似していた。その結果、AMPKやPPARに関連するシグナル伝達経路が確認された。

[結論]
これらの結果を総合すると、CA/CGA共刺激は、どちらか一方の化合物を単独で使用した場合よりも優れた褐色化誘導作用を示すことが明らかになり、肥満の管理に活用することができる。さらに、今回得られたデータは、CAとCGAが脂肪細胞の機能、分化、脂質代謝をどのように変化させるかについて、新たな知見を与えてくれるものである。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅最近、”褐色脂肪細胞”なるものが、ダイエット界隈で沸騰ワードとなっているらしい。ネットにもたくさんの記事がある。
多くの記事で褐色脂肪細胞を活性化させる方法として、運動食事寒冷刺激、を取り上げている。今回の論文はその中で、食事、にフォーカスを当てている。

正直、論文の細かい内容はあまり分からない。#専門外という言い訳
ただ、今回の論文結果と、私が主観的に感じていることがとてもマッチしていた。
理学療法士の視点としては、こうした食事と、さらに運動をセットで考えて、患者の体重管理に努めていきたいところだ。

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その他、褐色脂肪細胞に関する知識は以下の記事で分かりやすく解説されているため、ご紹介させていただきます。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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