マグネシウムと睡眠に関する最新知見
▼ 文献情報 と 抄録和訳
高齢者の不眠症に対するマグネシウムの経口補給:システマティックレビュー&メタアナリシス
[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar
[背景]
マグネシウムの補給は、しばしば睡眠を改善すると言われている。しかし、市販の睡眠補助剤としても、補完代替医療としても、この主張を裏付ける証拠は限られている。目的は、不眠症の高齢者に対するマグネシウム補給の有効性と安全性を評価することであった。
[方法]
MEDLINE、EMBASE、Allied and Complementary Medicine、clinicaltrials.gov、および2つの灰色文献データベースで、マグネシウムサプリメントをプラセボまたは無治療と比較する検索を行った。アウトカムは、睡眠の質、量、有害事象とした。偏りのリスクとエビデンスの質の評価は、RoB 2.0とGRADE(Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation)のアプローチを用いて行った。データはプールされ、治療効果は平均差を用いて定量化された。残りのアウトカムについては、修正効果方向プロットを用いてデータを統合した。
[結果]
3カ国、151人の高齢者を対象に、経口マグネシウムとプラセボを比較した3つの無作為化対照試験(RCT)が確認された。プール解析の結果、介入後の睡眠開始潜時時間は、プラセボと比較してマグネシウム補給後に17.36分短縮された(95%CI - 27.27 to - 7.44, p = 0.0006)。総睡眠時間は、マグネシウム補給群で16.06分改善したが、統計的には有意ではなかった。すべての試験は中程度から高程度のバイアスのリスクがあり、結果は低から非常に低い質のエビデンスで裏付けられていた。
[結論]
このレビューでは、不眠症の高齢者に対する経口マグネシウムの使用について医師が十分な情報に基づいた推奨を行うには、文献の質が標準以下であることが確認された。しかし、経口マグネシウムは非常に安価で広く入手可能であることから、RCTエビデンスは、不眠症の症状に対する経口マグネシウムサプリメント(1g以下の量を1日3回まで投与)を支持する可能性がある。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
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✅マグネシウムと睡眠に関しては、様々な記事がある。
マグネシウムは睡眠改善に役立つのでしょうか? - ブログ (iherb.com)
より良い睡眠のためには「マグネシウム」を摂取すべき?|ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)公式 (harpersbazaar.com)
また、睡眠関連雑誌では言わずと知れた、『Sleep』で、2021年に以下のような論文を発表されている。
マグネシウムの摂取と睡眠時間および睡眠の質との関連性:CARDIA試験からの知見
この研究の概要は、以下の通りだ。
確かにまだ検証の余地はある。しかし、臨床において、睡眠障害を訴える患者に対して適正量の範囲内でマグネシウム摂取量を検討していくことは、意義がありそうだ。
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