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疼痛部位と疼痛期間は中枢性感作に関連する?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

疼痛部位と疼痛期間の組み合わせは、筋骨格系疾患患者の中枢性感作に関連する症状と関連するー横断的研究

Tanaka K, Nishigami T, Mibu A, Imai R, Manfuku M, Tanabe A. Combination of Pain Location and Pain Duration is Associated with Central Sensitization-Related Symptoms in Patients with Musculoskeletal Disorders: A Cross-Sectional Study. Pain Pract. 2021 Jul;21(6):646-652.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的]
痛みの場所が中枢性感作(CS)関連の症状に影響を与えることを示す証拠が増えている。さらに、痛みの場所と痛みの持続時間は、CS関連症状と複雑に関連している可能性がある。しかし、これらの要因は別々に調査されてきた。本研究では,筋骨格系疾患の患者を対象に、CS関連症状と痛みの部位および/または痛みの持続時間との関連を検討することを目的とした。

[方法]
本研究では、筋骨格系疾患の患者635名を対象とした横断研究を行った。すべての参加者は、痛みの場所、痛みの持続時間、中枢性感作インベントリー(CSI)、EuroQol-5次元、および簡易痛みインベントリーを評価した。参加者は、痛みの部位によって3つのグループ(脊椎、四肢、脊椎と四肢の両方の痛み)に、痛みの持続時間によって2つのグループ(急性痛、慢性痛)に分類された。

[結果]
痛みの部位と痛みの期間の相互作用は、CSIスコアに対して有意ではなかった(P > 0.05)。CSIスコアが高い(40以上)患者のオッズ比は、脊椎・四肢の両方の痛みを持つ患者vs.脊椎・四肢の痛みを持つ患者で2.64(P<0.01)、慢性痛患者vs.急性痛患者で1.31(P=0.52)であった。さらに、慢性疼痛と「脊髄と四肢の両方」の疼痛の組み合わせでは、CSIスコアが高くなる有病率が高かった(23.1%、調整残差=4.48)。

[結論]
痛みの場所はCSIスコアに独立して影響し、「脊椎・四肢両方の痛み」と「慢性の痛み」の組み合わせはCSIスコアが高いことを示した。痛みの部位と痛みの持続時間の組み合わせは、CS関連症状を指し示す重要な手がかりとなる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅中枢性感作(CS)について、以下の記事で分かりやすく解説されているので紹介するが、以下のような定義である。

中枢神経系において痛覚過敏を誘発する神経信号の拡大

中枢性感作の評価であるCentral sensitization Inventory(CSI)の内容も説明しているので大変参考になる。

臨床においては、まずCSの存在を知り、それが生じやすい場面とその評価方法を知る。そして実際に治療に還元する、、、。今回の論文では、その中で”CSが生じやすい場面”が明らかになった。そしてCSIという評価方法も知ることができた。難しい概念(少なくとも私にとっては)であるが、CSに対して私たちはどのように治療していけば良いか、調べ、考えていきたい。

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最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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