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【英論抄読】ボウリングの障害特性

▼ 文献情報 と 抄録和訳

ボウリング エリートテンピンボウラーにおける手首と手の職業性障害

Lee YJ, Harmony T, Jamal-Azmi IS, Gunasagaran J, Ahmad TS. Bowling: Occupational Hazards of the Wrist and Hand in Elite Tenpin Bowlers. Malays Orthop J. 2021 Mar;15(1):113-118.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[はじめに]
ボウリングは非常に人気のあるスポーツであるが、参加者の使いすぎによる怪我と関連する研究はほとんど行われていない。本研究の目的は、エリートボウリング選手における一般的な上肢の愁訴の発生率を調査し、報告することである。

[方法]
マレーシア国内レベルのボウリング選手全員(n=39)を対象に、上肢の症状について質問票による評価を行った。ドケルバン腱鞘炎、テニス肘、ゴルファー肘、手根管症候群、トリガーフィンガーを除外するために、各被験者に焦点を当てた関連臨床検査が実施された。その後、選手は2時間ボウリングを再開した後、別の症状関連アンケートに回答した。

[結果]
疼痛が主に観察される症状であり、手首、薬指、中指、および親指に好発部位があった。De Quervain's tenosynovitisは被験者の53.8%(n=21)に認められ、トレーニング中とトレーニング後にそれぞれ52.4%と42.9%の被験者が痛みを感じていた。その他の反復性損傷関連障害も、プレーしていない肢や一般集団に比べてかなり多く見られた。

[結論]
de Quervain's tenosynovitisの発症率は、この集団では例外的に高いものであった。これらのアスリートにおける長期的な病的状態を予防するために、スポーツキネマティクスに関するさらなる研究が必要である。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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最近、患者さんとこんな会話をした。

Pt「趣味でボウリングやってたんですけど、このままじゃもうできないですよね」
Th「そんなことはないと思いますよ。痛みもなくなったし、だいぶ安定して歩けるようになりましたし、、、」

そんな会話をしながら、ふと思った。もちろん、ボウリングはやったことはあるが、それを医学的、運動学的な視点で考えたことがないと。

調べてみたが、『Bowling』で検索してもなかなかヒットしなかった。競技人口の影響なのか、スポーツ障害としての障害発生率の影響なのかは分からない。しかし、超高齢化社会の日本において、シニアスポーツとしてのボウリングのニーズは、一定数あるのではないかと感じた。実際、国内ではこんな調査がされている。

Abstract:ボウリングを習慣化する中高年男女の活力年齢につて検討した。ボウリング習慣者21例を対象とした。ボウリング習慣者の活力年齢は暦年齢に比べ若い傾向にあることが明らかとなった。また、ボウリング経験の豊富さと活力年齢の若さには線形関係は認めなかった。ジョギングやウォーキング、登山など他のスポーツ種目との比較では、総コレステロールや中性脂肪などの血中脂質で好ましくない数値であることが示された。その一方で、体力指標では他のスポーツ種目の習慣者と同等であり、活力年齢を若く維持することに貢献している可能性が示された。これらのことから、ボウリングの習慣化は健康水準の維持・増進と関連する可能性が考えられた。
CiNii 論文 - ボウリングを習慣化する中高年男女の活力年齢

また、先行研究では障害部位や発生率の調査が多く、障害発生のメカニズムや、運動学的な検討を行った研究は少ない。ボウリングの投動作でこのようなフェーズ分けがされていることも知らなかった。

超高齢化社会の日本を元気にするため、シニアスポーツとしてのボウリングに注目していきたい。

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