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交通手段を徒歩や自転車にするとコミュニティ参加率が高まる?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

アクティブ・トランスポーテーションとソーシャル・キャピタル 交通手段としての徒歩・自転車とコミュニティ参加との関連性について

Stroope J. Active transportation and social capital: The association between walking or biking for transportation and community participation. Prev Med. 2021 Sep;150:106666.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ ハイライト
・ウィスコンシン州の成人を対象とした調査(n = 1700)
・アウトカムは、コミュニティ参加、コミュニティ意識、社会政治的コントロール
・積極的な交通手段は、コミュニティ参加とのみ有意に関連していた。
・積極的な交通手段を利用すると、1日あたり0.03のコミュニティ参加の増加が予測される
・アクティブな交通手段は、コミュニティ参加の3番目に強い予測因子である

[背景]
アクティブ・トランスポーテーションは、地域社会や個人に利益をもたらすが、ソーシャル・キャピタルとの関係についてはほとんど知られていない。本研究では、アクティブ・トランスポーテーションの行動とソーシャル・キャピタルの3つの指標(コミュニティ参加、コミュニティ意識、社会的政治的統制)との関係を調べた。

[方法]
2014年、2015年、2016年に収集された人口ベースの代表サンプルである「Survey of the Health of Wisconsin」のクロスセクションデータ(N = 1700)を線形回帰法で評価した。

[結果]
アクティブな交通手段は、より高いレベルのコミュニティ参加と関連していた(p = 0.012)。アクティブな交通手段とコミュニティ参加の関連は、標準化係数(β=0.07)では、年齢、大卒以上の教育達成度に次いで3番目に大きかった。積極的な交通手段は、地域社会の意識や社会的政治的統制とは有意な関連はなかった。すべてのモデルで、交絡する背景特性をコントロールした。

[結論]
これらの結果は、政策や計画を立てる上で重要である。なぜなら、アクティブな交通手段をサポートする環境を設計し、障害を取り除くことは、コミュニティへの参加を強化することで社会資本を育むことができるからである。アクティブな交通手段の利点は、これまで理解されていたよりも幅広いものである可能性があり、アクティブな交通手段を促進する必要性を強調している。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅交通手段をアクティブにして身体活動量を増やすことも、コミュニティへの参加を促していくことも、リハビリテーションの重要な役割である。この相関関係を理解していると、この2つの課題をセットで考え、新たな介入案が生まれてくると思う。
例えば、
家族の運転で、近所のスーパーへ買い物に行くことが日課の高齢者がいたとする。少し家族負担は一時的に増えるかもしれないが、週1~2回でも、買い物に行く際に家族と歩いていくように伝えた。すると、買い物に行く以外は家にこもりがちであったその高齢者は、次第にコミュニティへ参加していくようになり、、、、。といった感じだ。#希望的観測

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また、アクティブ・トランスポーテーションは環境面からも注目されている。

私自身も、アクティブ・トランスポーターである。#e-bike
環境問題は昔から関心があり、ほんの僅かでも、環境のためにできることをしたいという思いもあり、アクティブ・トランスポーターへと変身した。
その一方、以下の記事を読んだ。結構衝撃を受けた。

私たちが環境のためと思って行っていることは、本当に環境のためになっているのか、中庸的な視点で考えなくてはいけない。#論語
同様に、患者さんのためと思った介入が、本当に患者さんのためになっているのか。これまた中庸的な視点で学び、吟味していこう。

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医療従事者と研究活動における道徳感についても記事にしていますので良かったら読んで頂けると嬉しいです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。今日も一歩ずつ、進んでいきましょう。

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