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『城塞』

司馬遼太郎さんの代表作の1つ『関ヶ原』の続編で、関ヶ原の戦い後から豊臣家の滅亡までを描いた、全3巻の長編小説。

※関ヶ原については、noteにまとめているので、こちらも読んでいただけると嬉しいです。

あらすじ

関ヶ原の戦いで豊臣家・石田三成率いる西軍に勝利した徳川家康は、名実ともに天下統一を成し遂げるべく、豊臣家の滅亡を企てる。
家康は、豊臣家の正統後継である豊臣秀頼と、秀頼の母である淀殿を挑発し、今一度の開戦を迫る。
対する豊臣家は、難攻不落の城塞 大阪城に立て篭もり、兵糧と10万人の兵士を集め、籠城作戦に打って出る。

舞台は大阪城。1614年〜1615年に行われた2度の戦(大阪城冬の陣、夏の陣)を描いた歴史小説。
家康の知略政略、思いのままに、難攻不落の大阪城は丸裸にされていき、孤立無援・四面楚歌の中で豊臣秀頼・淀殿は滅亡へと誘われていく。
いかにして豊臣家は滅びの道を歩んでいくのか...。

『城塞』シリーズの楽しみ方

本シリーズで終始、豊臣家に漂う負けフラグ。
何をやっても裏目に出て、そしてその全てが家康に筒抜けというなんとも痛ましい状況のまま、戦へと突入していきます。
そんな小説の中で1番面白いところは、豊臣家側についた名だたる戦国武将たちの戦いとその生き様です。
豊臣家側には、実は真田幸村や長宗我部盛親、後藤又兵衛、毛利勝永などの有力武将が加担していました。
彼らはもちろん、この戦に勝ち目はないと分かっていましたが、秀吉への恩顧や家康嫌い等の様々な理由により、滅亡への道を選択します。
中でも真田幸村は面白く、自らの軍事・策略で力試しをしたかったという理由で豊臣家に加担しました。
関ヶ原の戦いの時は父である昌幸の下で戦に参加し、その後も長らく幽閉されていたたため、個人としての力を世に試す機会に恵まれなかった幸村は、大阪の陣で知略の限りを尽くし、一時は家康をあと一歩のところまで追い詰めることになります。

灯火消えんとして光を増すように、そして己の力を世間に知らしめるかのように戦場で乱舞する、彼らの戦いっぷりは、このシリーズでの1番の醍醐味だと思います。

「関ヶ原」を読んだ方も、そうでない方も、楽しめるシリーズだと思います。
ぜひ読んでみては。

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