映画「ショーシャンクの空に」~逆境を生き延びる方法とは?~
近年、ビジネスの分野で注目されている言葉がある。
「レジリエンス(resilience)」という心理学用語だ。「変化に柔軟に対応し、困難を乗り越え、回復する力」を意味する。
経済のグローバル化やデジタル化、最近の新型コロナウイルス感染症の流行が背景にあるのだろう。ビジネス環境が急激に変化しているのだ。
映画「ショーシャンクの空に」は、レジリエンスを体現した主人公・アンディ・デュフレーンの物語なのだ。刑務所生活での彼の生き様を通して、レジリエンスの重要性と私達が学ぶべき点を考えたい。
まず初めに、レジリエンスの定義とアンディの行動を紹介する。大きく分けて3つある。
〔逆境を乗り越える力〕
●銀行員時代の知識を活かして、所長や主任刑務官、囚人仲間からの信頼を
勝ち取る。
●囚人仲間のレッドに「希望」の大切さを何度も訴える。
●孤立せずに、囚人仲間との交流を続ける。
〔変化に柔軟に対応する力〕
●所長の不正蓄財に手を貸すふりをするが、秘密裏にある工作をしていた。
●冤罪を晴らす囚人仲間が殺されても、悲観することなく別の対処をする。
〔心のバランスを保つ力〕
●刑務所内の図書室の充実を求め、州議会に数多くの手紙を出す。
●図書室に寄贈されたレコード(フィガロの結婚)を許可なく、刑務所内に大音
量で流す。囚人達の心に変化が表れる。
アンディには敵わないかもしれないが、アメリカ心理学会(APA)が「レジリエンスを築く10の方法」を紹介している。
「価値は関係にある」という言葉がある。お金は人間にとっては大事だが、猫から見ればはただのモノ(小判)に過ぎない。主体と対象との関係で価値は生まれるのだ。逆境も関係によってはチャンスになる例を、この映画は教えてくれる。
アンディは終身刑を宣告されるが、それを逆手にとってロックハンマー1本で壁に穴を掘り続ける。終身刑という時間を味方にしたのだ。ピンチをチャンスに変える発想もレジリエンスのひとつだろう。
今回は「レジリエンス」という観点から映画を分析したが、また別の見方があれば、彼の強靭な意志の秘密が分かるかもしれない。
今、私達は地球規模で様々な問題に直面している。最近のパンデミックだけでなく、「気候変動」「格差問題」「戦争」「天変地異」など、数え上げたらきりがないのだ。
私たち一人ひとりができることは何か?「備えあれば憂いなし」という言葉がある。レジリエンスを高めることも「備え」のひとつだと考えたい。