トラウマの恐怖を消し去るスイッチが見つかった
トラウマという言葉は漫画や小説を読んでいると、時々目にするくらいにメジャーに感じているんだけれど、TLなどにみかける「トラウマ」の用法はちと軽い気がしている。
トラウマというのは心的外傷後ストレス障害、PTSDともいって、恐怖体験をした後、何かの拍子に思い出して恐怖感がよみがえることで、ただ単にいやな記憶がよみがえる、という状態でトラウマと呼ぶには程度が違うんじゃないかなと。
言葉というのは時代とともに用法が変わっていくものだし、みんなが使い出せば、そういうものになっていく。受け入れるしかないとは思いつつも、やっぱり違うよ、って思いは捨てきれないでいる。
The Journal Neuroscienceに掲載された研究では、恐怖記憶が思い出された後、恐怖感を残したままにするのか、それとも恐怖感を消し去るのかを決定するメカニズムを解析すべく、マウスを使って恐怖感の固定化から消去する分子スイッチを発見。
マウスに恐怖体験をさせて、再び恐怖を与えるときに分子レベルの変化を解析したところ、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)の活性化が引き起こされることを突き止めた。
恐怖記憶が形成された後、恐怖記憶が想起される再固定化が起こるとき、ERKを活性化させることで、この恐怖記憶の固定化が消去される。
これがヒトにも通用するなら、紛争地域などの戦闘でPTSDになってしまった兵士のメンタルケアが格段に上がるかも。
それ以外にも、親などの虐待を受けた児童や不慮の事故でイップスになやむアスリートにも使えるかもしれない。
でも、これは乗り越えていくというわけではないので、乗り越えてストレスへの抵抗力を身につける機会を失ってしまうのでは、とも考えてしまうわけで、
よほどのケースではない限りは安易に消してしまうものではないかなと思うのはマッチョな考えなのかもしれないけれど。
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