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「逃げ恥」が生き方を教えてくれた。

変えたくないわけじゃない。でも強制されるのは嫌だ。

“4%”

これは何の数字だと思いますか?
正解は、結婚後に妻の姓を名乗る男性の割合。
現在の日本では、96%のカップルが夫の姓に揃えているという現状があります。外国籍である場合を除いて、どちらかの姓に合わせなければなりません。

紆余曲折を経て、パートナーになった🐼と🐶。
パートナーになってから初めてデートをした日、カフェでラザニアを食べながら、「苗字はどうする?」という話をしたことを覚えています。
2人の意見は、「変えてもいいけど、できることなら変えたくない」ということで一致しました。

▼紆余曲折の経緯はこちら🐼🐶


🐼の気持ち

子どもの頃から「いつか結婚したら自分が名字を変えるんだ」と思っていました。好きな人ができると相手の名字に自分の名前を当てはめる、なんてこともやっていました。
なんでそう思っていたかと思うと、疑問を抱くきっかけがなかったからです。
自分の親然り、友達の親然り、先生然り、誰ひとりとして「結婚に際して男性が名字を変えた」なんて話は聞いたことがありませんでした。
サイトで会員登録する際に設定する「秘密の質問」にだって、「母親の旧姓は?」って項目がありますよね。どのサイトにも大抵あったから、女性側が姓を変えることが当たり前だと疑わずに生きてきました。

それが当たり前じゃないのかもしれないと気付いたきっかけは、3つあります。
1つ目は高校生のとき、関わりの深かった先生が事実婚で、2人いる娘さんの名字がそれぞれ違うということを知ったこと。

2つ目は、2020年3月に夫婦別姓について話し合ったカップルのnoteを読んだこと。
この頃は結婚はおろか🐶とすらまだただの友達だったけど、なんだかすごく真剣に読んで、自分ならどうするかを真剣に考えたことを覚えています。
カフェで🐶と話す5日前にもこの記事を読んで、改めて考えていたことが日記に残っていました。

昔のわたしは自分の名字が嫌いだった。だからその頃はいつか結婚したら名字を変えることに抵抗はなかった。(中略)今はなんだかんだこの名字がお気に入り。フルネームの語呂もいいし。だから、変えるのがもったいないなあとちょっと思っている。

もし本当に結婚するのなら、なんとなく法律婚がいいなと思っている。事実婚は怖い。実際がどうかは置いといて、法律で縛られるより簡単に手放せてしまいそうな気がして。親の離婚を間近に見ているから、できることなら離婚したくない(簡単に離れたくない、そうできないようにしておきたい)気持ちが強いから、というのが理由かな。

「結婚する時、新しい名字作れないかな」
自分がこの呟きを🐶と旅行しているときに言ったのをなぜか今でも鮮明に覚えているし、今でもそうならないかと真剣に思っている。お互いの名前に合う名字探すの楽しそうだし。

(フィンランドは実際に新しい名字を作れるそうです。いいな〜!)

3つ目は、当時どハマりしていたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』を見たこと。
2016年のドラマ本編では、主人公のみくりと平匡は「婚姻届は出さず、住民票の続柄を夫(未届) / 妻(未届)とする」方法で事実婚を選び、生活していました。
2021年の正月SPでは、子どもを授かったことから法律婚を選びますが、こんなセリフが出てきます。

「選択的夫婦別姓、ちっとも進んでませんね」

ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』
いつになったら選べますか 「逃げ恥」で願った夫婦別姓:朝日新聞デジタル

リアタイで視聴した後も何十回と繰り返し見ている大好きな作品なので、より印象に残ったのだと思います。

そんな複数のきっかけから夫婦別姓について意識するようになり、結婚が決まる少し前から「できることなら変えたくない」という意見を持つようになりました。


🐶の気持ち

🐶は大学で社会学を専攻していたということもあり、「同姓にしなければならない」という制度に何となくの違和感が。
ですがその当時は「事実婚」という選択肢を知らなかったので、2人で話し合って、どちらかの姓に揃えるしかないのかな、と感じていました。
🐼からシェアしてもらったnoteも印象には残っていたので、「なんとなく男性側に揃える」という方法だけはしたくない、と思っていました。

絶対に変えたくない、というわけではない。でも、「変えなければ結婚できない」という仕組みは嫌だ。それが🐶の率直な気持ちだったので、🐼から「逃げ恥」を参考にした事実婚という方法を聞き、「それがいいじゃん!」と意思が一致しました。


その名も「逃げ恥婚」

「名字を変えずに結婚する方法はないのか?」という考えが出たときに🐼が『逃げ恥』を思い出し、2人で全話を一気に鑑賞しました。
そしてみくり&平匡と同じように、「婚姻届は出さず、住民票の続柄を夫(未届) / 妻(未届)とする」方法で事実婚を選ぶことにしました。
“「選択的夫婦別姓」が導入されるまでは、婚姻届を出さない”という結論に至ったのです。

ただこの結論が出せたのは、2人での暮らしがスタートしてから約3ヶ月後のこと。
当初🐼が不安に思っていた離婚のリスクについて、暫く2人で過ごしてみて「多分大丈夫」「法律婚でも事実婚でも別れるリスクはきっと変わらない」と思えてからでした。


夫婦の問題から、家族の問題に。

こうして始まった事実婚生活。
職場の結婚祝金がもらえない、家族割引が使える携帯キャリアが限られるなど、不便なこともありますが、今のところ大きな困り事はなく暮らしています。

とはいえ、早く実現してほしいと願っている選択的夫婦別姓。
選択的夫婦別姓の賛成意見として、「改姓の手続きが不便」というものがあります。
実際、事実婚の話をすると「改姓するの色々手間だったから、別姓にできるといいね」という反応をもらうこともあります。

もちろんこれも大事なことではあるのですが、私たち夫婦は、これを何よりも「アイデンティティの問題」だと捉えています。
生まれてきてから生きてきた名前を、結婚するからという理由でどちらかが変えなければならない制度がおかしいと思うからこそ、事実婚を選んでいます。

健康な夫婦が2人で暮らしていくには事実婚も大きな問題ではないのかもしれませんが、病気をしたり、家族が増えたりするとそのハードルはぐんと上がります。
その話は、また記事を改めて書きたいと思います。

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