フランスで秋限定スタバメニューを頼んでみた。
普段の私はアイスアメリカーノ一択である。
どうしても寒くて我慢できないときだけカフェアロンジェ(いわゆるアメリカン)を頼まないわけでもない。
特に理由はないが、ここ10年ほど砂糖もミルクも入れないブラックを飲み続けていて、これが習慣になってしまうと甘いコーヒーというのを舌が快く受け入れないのだ。
だからフランスの一般的なカフェのコーヒーのメニューの種類の少なさは実にありがたい。
バリエーション豊かなカフェに行ってただのブラックを頼むのもつまらないし、せっかくだから面白いドリンクを頼んでみようとあれこれ迷った果てに結局ブラックを頼んでしまうのが目に見えている。
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そんな私がフランスのスタバに足を踏み入れた。
正直スタバがあまり得意ではない。
嫌いなわけではなく、長いカタカナのメニューや親切極まりない店員さんに戸惑ってしまうからだ。
でも近所にスタバができたとなっては行かないわけにはいかない。
新しい店舗なので、比較的清潔。ショーケースには綺麗にパティスリーが並んでいる。
が、ここで気づいたことがある。
このスタバ(他のフランスのスタバは知らないが)、レジの手元のメニューがない。店員の背後、つまり壁にはあるが、矯正視力1.20の私にはほとんどぼやけていて見えない。
客も少なかったので長い名前のドリンクをひとつづつ読んでいる時間もない。
それでも目を細めて壁を眺めていると、マダ〜ム何にしますか?と呼ばれた。
出た。試されるコミュニケーション力。
こういう時いつも通りJe voudrais un café allongé, s’il vous plaît.(カフェアロンジェお願いします。)と言いかけて思った。
え、せっかくスタバに来たのに惰性に任せちゃう?
私「すみません、季節限定のドリンクはありますか?」
店員「パンプキンのシリーズがありますよ。(ながーいドリンク名3つ連呼)」
私「(覚えられない。)… ホットがいいんですが。」
店員「じゃあラテですね。」
チャレンジ精神に任せて注文したパンプキンスパイスラテとPécan caramel roll(ピーカンナッツキャラメルロール)。
秋らしいスパイスの香り。これがいわゆる「ほっこり」なのだろう。
口にした途端、甘い…と心の底からの本音が漏れた。
こんなに甘い組み合わせを注文したのはいつぶりだろう。
10代の頃、週末に友達と出かけるとよく抹茶フラペチーノを飲んでいたっけ。
そんなことを考えながらレジに並ぶ客の声に耳を傾けていると、
「アメリカーノ」
「ラテ」
「エスプレッソ」
が頻繁に聞こえてきた。
惰性にまかせるのはどうやら私だけではないらしい。
ともあれ久しぶりのスタバは、秋の訪れと高校生時代の思い出を呼んでくれた。
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