パリで遭遇した日本人観光客との未だに解明されない謎の接触②
前回のソーリー大学生に引き続き、今回はつい最近遭遇した珍体験について語りたい。
①はこちら↓
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「パリと東京で頑張る女たち」で検索してください。
note未公開のエピソードについても語っています。
ケース2 : アジア系のご婦人
土曜日。
そろそろイタリア料理が食べたい…と小声で不満を漏らす夫と共に毎週末恒例のパリでガチアジア料理昼食に赴いた。
この日の選択は重慶麺。
重慶出身の店員さんおすすめの麺は程よい辛さでとても美味しく、新しいガチ中華in Parisを開拓できたことにに絶好調の気分でレストランをあとにした。
非常にポジティブな気分だったので、普段大して気にもかけないパリの街並みの美しさに感動しながら目的もなく道を歩いていると、横断歩道で目の前に道を尋ねている人を見かけた。
落ち着いた配色のコーディネート(アースカラーと呼ぶのだろうか)、斜めがけのレスポートのバッグのアジア系のご婦人が、上半身を斜め30度に倒しエクスキュゼモワ〜と言いながら近くを通りかかった人に話しかけていた。
私の日本人キャッチレーダーが反応した。
ん?この方日本人じゃない?
話しかけられたフランス人らしき人もパリの人間ではなく、ご婦人が行きたい場所がわからないらしい。
信号待ちの間しばらく聞き耳を立てていたが、その場所はパリの人間ならもちろん、在住歴たった5年の私ですらわかる有名な場所である。
ご婦人が残念そうに、あっメルシーと言ったところで私の日本人キャッチレーダーが激しく点滅した。
間違いない。ジャポネーズだ。
前置きしておくと、私は日本でもフランスでも国籍関係なく道に迷っている人を見ると速攻手伝ってしまいたくなるタチである。
まして目の前のご婦人は明らかに観光客だった。助けないわけにはいかない。
この瞬間はまだ、今後の謎に満ちた展開を予想できていなかった。
Vous parlez japonais? 日本語話せますか?
話しかけた。
するとご婦人が
はい!…あっいいえ、チャイニーズ!
と返答してきた。
あっそうか。中国人だったか。
レーダーは誤作動だったが、そんなことは関係ない。
目的地への行き方を一通り英語で説明した。
彼女は笑顔でセンキューメルシーと言ったあと、
シェイシェイ。
と言った。
ん?
シェイシェイ?
聞き覚えのあるシェイシェイ…。
ご存じだろうか。
中国語母語話者のありがとう「谢谢」は発音が全く違う。
発音カタカナ書きが嫌いだがあえて書くなら「シエシエ」に近い。
間違っても「シェイシェイ」ではない。
ところが日本ではこの「シェイシェイ」がよく知られている。
つまりこのアジア系ご婦人は何度聞いても完全なる日本流シェイシェイを言っていたのだ。
ご婦人と別れた後も疑問が払拭しきれず、その後入ったカフェでYouTubeを開き、「中国 谢谢 発音」と入力して聞きなおしてみた。
確信した。彼女は中国人ではない。
私は中国語を勉強したことがなく、中国は広大な国なのでごく一部の地域でシェイシェイと発音する中国人がいるなら申し訳ない。
だがもう一度振り返ってみたい。
・服装
・話しかける時のお辞儀の角度
・私のネイティブ速度の日本語の質問を理解していた。
・日本流シェイシェイ
私の中で彼女は日本人だった確率が80%まで上がっている。
仮に彼女が日本人だったとして、なぜ自らをチャイニーズと言ったのか未だに解明できていない。
いずれにせよ、彼女が無事に目的地にたどり着いたことを願っている。
絶対にシェイシェイと発音しない中国語学習者の東京の女の記事はこちら↓
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