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36 固定思考を生む時代背景と、子育てメンタルトレーニングのアプローチ

現代社会では、「正しいことを、速く、正確に出す」ことが重視され、効率性や成果を求める風潮が強まっています。その影響で、固定思考(固定マインドセット)を持つ子どもたちが増えていると言われています。しかし、このような時代だからこそ、しなやかな心を育む子育てメンタルトレーニングが求められています。

固定思考を生む時代背景


固定思考とは、「能力や性格は変わらない」と信じる考え方であり、新しい挑戦や失敗を避ける傾向を生みます。その原因には、以下のような社会的背景があると考えられます。

1. 成果主義と競争社会

学校教育や職場環境では、結果が重視される傾向があります。たとえば、テストの点数や偏差値、職場での評価など、結果の数字で人が評価される環境では、「失敗してはいけない」というプレッシャーが強まり、挑戦を避けるようになります。

2. 失敗を恐れる文化

日本社会には、「失敗は恥ずかしい」という価値観が根強くあります。これにより、子どもたちは間違いや失敗を「自分の価値が否定されること」と捉えるようになります。

3. 情報過多と正解主義

インターネットやSNSの普及により、正解を瞬時に求められる環境が日常化しています。「すぐに正しい答えを出す能力」が称賛される一方で、試行錯誤やプロセスを楽しむ余裕が失われつつあります。

4. 心理的安全性の欠如

家庭や学校で、間違いを許容する風潮が薄いと、子どもたちは「失敗=非難されること」と認識し、リスクを避ける思考が固定化されます。

子育てメンタルトレーニングでできること


このような時代背景の中で、固定思考にとらわれない「しなやかな心」を育てるためには、子育ての中でメンタルトレーニングを意識的に取り入れることが重要です。

1. 失敗を肯定的に受け止める環境を作る
• 子どもが失敗したとき、「どうして失敗したの?」ではなく、「失敗してどんなことを学んだ?」とポジティブな視点を提供しましょう。
• 親自身も失敗談を共有し、「失敗は人を成長させる経験」として家庭内で自然に話せる雰囲気を作ります。

2. 努力とプロセスを評価する
• 子どもの行動を褒めるとき、結果だけではなく「その工夫、良かったね」「よく考えたね」と、プロセスを具体的に評価します。
• 結果が伴わなかった場合も、「次はどうしたらうまくいくと思う?」と未来志向の質問を投げかけましょう。

3. 選択肢を与え、主体性を育てる
• 子どもが自分で考え、決定できる場面を日常生活に増やします。たとえば、「今日はどんな遊びをしたい?」と問いかけ、自由な選択肢を提供します。
• 子どもが考えた選択を尊重し、たとえそれが親の期待とは違っても、チャレンジを応援しましょう。

4. 心理的安全性を確保する
• 子どもの話に耳を傾け、否定せず共感することで、「どんなことを話しても大丈夫」と思える安心感を与えます。
• 批判的な言葉を避け、**「挑戦してくれて嬉しいよ」「工夫してみたね」**と積極的に声をかけます。

5. 成功体験と失敗体験をバランスよく積む
• 子どもが小さな挑戦で成功を感じられるよう、親がサポートし、達成感を味わう機会を増やすことが重要です。
• 一方で、失敗を経験したときに「それでも楽しい!」と感じられる工夫をします。たとえば、ゲーム感覚で失敗をポジティブに捉える遊びを取り入れるとよいでしょう。

実践例:我が家での取り組み


日常生活の中で、以下のような方法を試しています。

1. 「楽しかったことランキング」

お風呂に入る時間を利用して、今日あった「楽しかったこと」を3つ挙げる習慣を始めました。最初は「学校には楽しいことなんてない」と言っていた子どもも、小さなことに目を向ける練習を重ねるうちに、少しずつ「こんなことがあったよ」と話してくれるようになりました。

2. 親子で挑戦する体験

先日、息子と一緒にバイク教室に参加し、国際サーキットをバイクで走るという新しい挑戦を体験しました。この経験は、「初めてのことでも楽しめる」ことを学ぶ貴重な時間となりました。親が新しい挑戦を楽しむ姿を見せることも、大切なメッセージになります。

子どもに伝えたいメッセージ


「どんなことも、やってみる価値がある。」
「失敗したら、そこから学べばいい。」
「挑戦すること自体が、すごいことなんだよ。」

こうしたメッセージを、言葉だけでなく行動で示すことが、固定思考を防ぎ、子どもたちが未来に向かって前向きに成長していく力になるはずです。

固定思考が強まりやすい時代だからこそ、子どもたちに「しなやかマインドセット」を届けるために、私たち親ができることはたくさんあります。一歩ずつでも、日々の子育てにメンタルトレーニングの要素を取り入れ、一緒に「挑戦の楽しさ」を育んでいきましょう。

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