101 「みんながそうだから、あなたもそうするべき」は本当？
「みんなやっているから、あなたもやらないとおかしい」
「みんな我慢しているんだから、あなたも我慢しなさい」
「みんなが続けているのに、途中で変えるなんて甘え」
こんなふうに、「周りがそうだから、あなたもそうするべき」 という考え方を、無意識に子どもに押し付けそうになったこと、ありませんか？
私はあります。そして、それが**「本当に正しいのか？」**と疑問を持った瞬間、考え方が変わりました。
今回は、私が親として失敗しそうになったエピソードを通して、「みんなと同じじゃなくていい」という視点を、脳科学の視点も交えてお話しします。
私が失敗しそうになったこと
息子がある習い事を続けていたときのことです。
同じグループの子たちはみんな、さらにレベルの高いクラスに進もうとしていました。
そんな中、息子は私にこう言いました。
「僕はこのままでいいかもしれない」
その言葉を聞いたとき、私はつい、こう言いそうになりました。
「みんな進級するんだよ？」
「ここで辞めたら、周りと違ってしまうよ？」
「せっかく頑張ってきたんだから、やったほうがいいんじゃない？」
でも、私は言う前に思いとどまりました。
「周りがやっているからと言って、本人にとっても最適とは限らないのでは？」
「これは本当に息子のため？それとも私が安心したいだけ？」
ふと、そんな疑問が頭をよぎったのです。
脳の仕組みから考える「みんなと同じが安心」な理由
私たちは、社会の中で生きていると、つい「みんなと同じが安心」と思いがちです。
特に日本では、「集団の中で同じ行動をとること」が良いとされる文化が根強くあります。
でも、これは単なる文化的な問題ではなく、脳の仕組みによるものでもあるんです。
1. 偏桃体（へんとうたい）と恐怖反応
偏桃体は、危険を察知する脳の部位です。
「集団から外れる＝危険」と感じるのは、生存本能の名残 なんですね。
昔の人類社会では、集団から外れることは命の危険に直結していました。
だから、「みんなと同じでいること」が安全だと感じるのは、脳の自然な働きなのです。
2. 前頭前野（ぜんとうぜんや）と理性的判断
前頭前野は、論理的な判断や意思決定を司る部分 です。
本来は「本当にこれが正しいのか？」と考える役割を持っていますが、偏桃体が「不安だ！」と信号を出すと、前頭前野の働きが弱まることが分かっています。
つまり、
「周りと違う選択をするのは不安だ」という感情が強くなると、冷静に考える力が弱くなり、「とりあえず周りに合わせよう」と思ってしまう のです。
3. ミラーニューロンと同調行動
ミラーニューロンは、「他人の行動を見て、それを真似する神経細胞」 です。
これがあるから、人は**「周りの行動を見て、自分も同じようにしよう」と自然に感じる**ようになっています。
でも、この機能が働きすぎると、「周りがやっていること＝正しい」と無意識に思い込んでしまうんですね。
「みんながやっていること」に合わせるのはリスクにもなる
✅ 興味がないことを続けると、成長よりもストレスが増える
✅ 「みんながやるからやる」という思考が癖になると、自分で選べなくなる
✅ 集団の流れに乗ることが「目的」になり、本来の目的を見失う
このように、「周りに合わせること」が必ずしもメリットになるわけではありません。
むしろ、子どもが**「自分の考えで選ぶこと」を学ぶチャンスを奪ってしまう** 可能性があるのです。
息子の選択を尊重することにした
私は、自分の気持ちを落ち着け、息子にこう聞きました。
「進級しなくても、続けたい気持ちはある？」
「どんな形だったら、もっと楽しくできそう？」
すると、息子はこう答えました。
「今のままで、もっと練習方法を変えながらやってみたい」
そのとき、私は気づきました。
「みんなと同じ道を進む」のではなく、「自分に合った形で続ける」ことが大事 なんだと。
だから私は、こう伝えました。
「いいね！じゃあ、どうしたらもっと楽しめるか、一緒に考えてみよう」
「周りと違う道を選ぶことも、大事な決断の一つだよ」
今日のco-育てメントレ
✅ 「みんながやっているから」は、必ずしも正しいとは限らない
✅ 脳は「周りに合わせると安心する」ようにできているが、それが最適とは限らない
✅ 「やめる or 続ける」ではなく、「どう変化するか」を考える
✅ 子どもが自分で選ぶ力を育てるために、親が「周りと同じでなくても大丈夫」と伝える
「みんなと同じことをすること」よりも、「自分に合った選択をすること」を大切に。
私もまだまだ試行錯誤中ですが、子どもが自分の道を自信を持って進めるよう、サポートしていきたい と思います。
みなさんも、ふとした瞬間に**「周りと違うことを不安に思っていないか？」** と問い直してみてくださいね！