【Vol.1親の心得】Ep.1:中学受験で偏差値が伸びなくてもあきらめない
2020年からのコロナ禍でオンライン授業への素早い対応などを見せた私立中学が注目されています。
私立中学に通うにはその学校の入試を受けて合格する必要がありますが、合格できるかどうかの目安として偏差値が使われます。
どうしても偏差値で一喜一憂してしまいがちですが、偏差値が思うように伸びなくても、中学受験をあきらめる必要は無いことをお伝えしたいと思います。
<ポイント>
・中学受験の偏差値は高校・大学受験の偏差値と意味が異なる
・中学受験の偏差値35は、高校・大学受験の偏差値60以上に相当する
・中学受験では偏差値に一喜一憂せず、確実に合格できる学校を選ぶ
1.受験での偏差値について
中学受験、高校受験、大学受験では、志望校に合格できるかどうかの目安として偏差値という数字が使われます。
受験における偏差値は、ある模擬テストを受けた集団(母集団)の中でどれぐらいの位置にいるかを表している数字になります。
平均点は偏差値50となり、50よりも大きいと上位半分、50よりも小さいと下位半分にいるという意味になります。
例えば、偏差値70というとトップクラスの超優秀なイメージがあると思います。
大学受験での偏差値70は
・東京一工(東京大学・京都大学・一橋大学・東京工業大学)
・早慶上理(早稲田大学・慶応義塾大学・上智大学・東京理科大学)
・国立大学医学部
あたりを狙える感じです。
逆に偏差値35は進学自体が厳しいイメージで、大学受験であればFランク大学しか狙えない感じです。
2.中学受験の偏差値と高校受験・大学受験の偏差値は数字の表す意味が大きく違う
中学受験の模試や組分けテストで偏差値35という成績をとったとします。
高校受験や大学受験の場合だと、高校進学・大学進学が難しくなるようなかなり悪い成績というイメージを持つ方が多いと思いますが、中学受験では悪い成績ととらえる必要はないと考えています。
その理由は、中学受験、高校受験、大学受験では受験者の中身が大きく異なるからです。
・中学受験:中学受験に取り組んでいる一部の小学生のみ。先取り学習をしているので、普通の小学生よりも学力が高い子が多い。
・高校受験:公立中学に通っているほぼ全ての中学生。勉強が得意な子から不得意な子まですべてのレベルが受験する。
・大学受験:高校卒業生の約55%だが、勉強が得意な子から不得意な子まですべてのレベルが受験する。
このような母集団の違いが中学受験の偏差値に大きな勘違いを発生させる要因になっています。中学受験では比較的勉強のできる子の中での偏差値になるので、偏差値35を高校受験・大学受験と同じイメージで捉えてしまうと志望校選び・併願校選びも間違ったものになりかねないと感じています。
3.中学受験で偏差値30台でも、高校受験・大学受験なら偏差値60以上
中学受験の偏差値30台について、具体的に考えてみたいと思います。
首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)の2020年の小6児童数は約30万人で、4大模試(合不合判定テスト、全国公開模試、サピックスオープン、統一合判)の受験者数は約4万5千人です。
つまり、首都圏で中学受験をするのは全児童の約15%ということになります。
中学受験の勉強では、一般的に約3年間をかけて中学・高校の範囲を含む先取り学習をしており、普通の小学生に比べて勉強をしている時間が長いので、中学受験組は全児童のおおよそ上位15%と考えても差し支えないと思います。
偏差値において上位15%というのは偏差値60以上となるので、中学受験のテストでどのような偏差値を取ったとしても、それを高校受験・大学受験の偏差値に換算すると、少なくとも偏差値60前後の成績と言えます。
また、私立中高一貫校は高校募集をしている学校も多くあります。中学受験の偏差値では30~40台の学校でも、高校受験で入ろうとすると偏差値60~70台になる学校もあります。
大学受験で偏差値60台であれば、上位国公立大やMARCHも射程圏内なので、中学受験では偏差値が低いように見えても大学受験まで視野に入れれば十分な学校と言えるのではないでしょうか。
4.偏差値に一喜一憂せず確実な合格を狙う
私立の中高一貫校は中学受験では下位の学校に見えても、高校受験で見ると難関校だったりします。
また、中学募集の生徒は高校募集の生徒と混合せず、大学受験に特化した少人数の個別指導で、難関大学を目指す教育を提供する学校もあります。
東京大学を目標としている場合は御三家などの最難関校を目指す必要がありますが、地方国公立大やMARCHあたりで十分なのであれば、偏差値だけで中学を選ぶのはもったいないです。
偏差値が高い学校から低い学校まで幅広く学校を調べて、教育方針や校風、先生や在校生の話や様子などご家庭で重視するポイントをしっかりと見極めて、ファンになれる学校を見つけていただきたいと考えています。
そして、子供の偏差値、得意科目、入試での加点などを考慮して確実に合格できそうな学校をしっかりと選んでおいてもらいたいと思います。
5.まとめ
私の娘は長らくYT偏差値30台をウロウロしていましたが、小6の9月の合不合判定テストでYT偏差値45をとったので、このままYT偏差値50台に届いて第一志望(YT80偏差値で55)を本気で狙えるかもしれないと期待していました。
しかし、そのあとYT偏差値30に急降下したので、一転全落ちの不安に包まれた状態になりました。
そのため偏差値の下限を設定せず、慌てて合格を確保できそうな学校を探し始めました。
そうすると、首都模試で偏差値40前後の学校でしたが、穴場のような学校がいくつか見つかり、本気で娘を通わせても良いと思う学校もありました。
こんなことなら、娘が小4のうちから幅広く学校を見ておけば良かったと後悔しました。
中学受験の志望校合格のための重要な要素として併願校がありますが、確実に合格できそうで子供を通わせても良いと思うような併願校を探すこと、そして早いタイミングで合格を勝ち取れるような計画をたてることだと経験しました。
どのご家庭も併願校は準備されているとは思いますが、偏差値、ブランド、見栄で判断していると押さえになっていない併願校を選んでしまっている可能性があります。
早いうちに親のプライドやブランド意識は捨て去って、受験学年を迎える前の余裕のある時に幅広く学校を訪問して、後悔のない中学受験を迎えていただければ幸いです。
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