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ポジティブ心理学大好き女が『自分なんてないから。教養としての東洋哲学』を読んでみた。

本を読みました。

『自分とかないから。教養としての東洋哲学』
しんめいP/著 サンクチュアリ出版

東洋哲学がなんなのかさっぱり知らないまま、手にとって、仏教って哲学だったのか!と知ったくらい無知な私でしたが、とても分かりやすく楽しく読了いたしました。

大泉洋さんとか、ひすいこたろうさんとか、柴田英嗣さん(アンタッチャブル)とかの文書が好きな人はスルスルと読めます。
まさに私です。


悔しいなぁ。
自分事ならまだしも、東洋哲学とか難しいお話を分かりやすく、かいつまんで、自分の経験とともに面白く書いちゃうんだから。

羨ましい。。


私は“フィクション”!?


私が1番印象的だったのは、やはり「この世界はフィクションだ」というお話。

私は一応母親なんですが、それは子どもがいるからで。
夫がいるから妻となり。
彼氏がいるから彼女となり。
男がいるから女となり。
親がいるから子なるわけで。
要は全ては「役」なだけなんですね。

会社で偉そうなあのオヤジも、一度会社を離れれば単なるオッサン。


そんでもって、なんと人間関係がフィクションなだけではなく、物質までもがフィクションなんですって。


私は安室ちゃんが大好きなんですが、大阪城ホールで米粒ほどの安室ちゃんを見た時、同じ空気を吸っていることに感動しました。

安室ちゃんが吐く息に含まれる15%ほどの酸素の一部は、私の吸う息の中に入り、血液によって運ばれて体内に…安室ちゃんは私の一部になり、その逆も然り…変態ですね。


でも、要はそーゆーことで。

山から滲み出た水が田畑を潤し、根によって吸い上げられ実をつけ、太陽という宇宙の壮大で莫大なエネルギーを浴びて成長し、私の口に入り、私の血肉となる。

「私」は宇宙のエネルギーでできている。

そして、
宇宙のエネルギーでできた私すらも、日々細胞が入れ替わっている。

という事で、私という肉体さえも、宇宙のエネルギーが私という役を演じて、そのうち入れ替わっているそうです。



魔女の宅急便で海を見た黒猫のジジが、
「なーんだ。ただの水たまりじゃないか」と言いましたが、
ブッダに言わせると人間なんて
「ただの宇宙のエネルギーじゃないか」となるようです。


さらには、心や思考ってやつも、その形状を変える宇宙に反応してるだけで、
つまるところ「自分とかない」らしいです。



そーすると、勝手に作り出されたフィクションの「役」にしがみついて、地位や名誉だと言ったり、コロコロ変わる気持ちや思考に影響を受けて、無力や虚無感を感じているのがアホらしくなりますね。


「自分」とかなくて、どう生きる?

ちょうど夕方のニュースで「中年の危機」の特集を組まれていました。
キャリアや子育てが一段落ついた頃、「私は何も成しえていない」と思うそうです。
皆さん、大学の講師や、三人の子どもを立派に育てたワーママだったり。え。みんな過ごすぎん!?
いまからニートになろうとしている私には恐怖でしかありません。
こんな素晴らしい功績の持ち主が、「何もない」と思うなんて!!私なんてどーなってしまうんだ!!

ひーあせるぅ!!

いやいや。ここで東洋哲学。
そうそう。この世はフィクションなのよ。もともと何にもないのよ。


んー。でもそれでいいのかな??


仏教は人々の苦しみや悲しみを解決する事を目指していますが、
私が学んでいるポジティブ心理学もまた、人々の幸せを研究しています。

ポジティブ心理学を学んでいると、よく「理想の未来は?」という言葉を聞くことが多くあります。
ポジティブ心理学はポジティブシンキングではないけど、目指しているのは「良い状態」なので、「できなかった事」より「やりたい事」に目を向ける傾向にあります。

もちろん「理想の状態」を「大日如来」にしてもいいんだけどさ。

いくら「大日如来」を目指してもお腹がすくわけで。
お坊さんにでもならない限り、上司とか社長とかお客様とかご主人様とか、なんかよくわかんないけど、そんな感じの「役」の人から、お金って「役」の何かをもらわないと生きていけないのが現実ですよ。

だったらさ。
もういっそう、フィクションをがっつり楽しんじゃうのもありだよなぁと思ったわけです。

私も彼も猫も杓子も山もミミズも、皆んなフィクションで単なる宇宙だったとしても。

単なる宇宙が、笑ったり楽しんだり面白がったり驚いたりできるのは、別の宇宙が私に「役」を与えてくれるからなんですよね。
後輩という存在が、私を先輩にしてくれて、
大人という役が、私に責任感を与えてくれる。

「生きがい」みたいなやつを与えてもらってる。ありがたいなぁ。って。

世界との繋がりと、感謝を感じながら。今の「役」を楽しんだり、新しい「役」を目指したり。


ポジティブ心理学でも、「つながり」や「感謝」って幸福度を高めるって研究されているんですよね。そして「貢献」も。

あれ?これって「大我」ってやつ?繋がった??


しんめいPさんの大我


インド、中国、日本の主となる東洋哲学の人物と解釈を、面白おかしく解説してくださった著者のしんめいPさん。

別に東洋哲学を知ったからといっても、その道に進んでいるわけでもないのに。
しかも、自分から進んで本の執筆のお仕事を狙ったわけではないのに、三年半もの間、本を書くことへの自身の葛藤で苦しまれたらしい。
なんて誠実な方なんでしょう。

そんなしんめいPさんが、「自分」なんてどうでもいいや。と学んだことを全て放ってくださったおかげで、私は新しい世界を知れたんです。
「大欲」を持たずして、「大我」になっちゃった。(詳しくは、本を読んでね。)
深い愛と使命感を感じずにはいられません。

そして「自分」に対する好奇心と向学心も。


この本を読んで、全く興味がなかった東洋哲学や仏教の世界に興味が持てました。
そして、「自分」なんてはじめからないなら、今から何を目指してもいいし、成しえたところで「成果」でありながら、同時に「大した事ではない」事に安心感を感じました。

どーゆーわけか広い宇宙で、動いて話せて考えられるエネルギーとして、地球に生まれた奇跡に感動と感謝を感じながら、まだまだこの世を楽しみたいなと思います。



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