【読書記録】~人生の旅立ちには希望が待っている、という保険~「ライオンのおやつ」

こんにちは、明日から旅行なのですが、泊まるところ以外何も決まってなくて逆にわくわくしているはるです。

将来は自分の本屋を持ち、それまでに本屋さんやおしゃんなカフェへの取材と記事作成、そして本や映画のコラムやエッセイを雑誌連載し、外国文学の翻訳とラジオとラインスタンプも作りたいはるです。

ちなみに自己紹介(?)はこちら!

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今日は、小川糸さんの「ライオンのおやつ」を読みました。
ライオンの家という、最期を過ごすためのホスピスに入居した33歳の女性のお話。

私はもともと小川さんの本が好きで、「ツバキ文具店」や「キラキラ共和国」は本当に世界観がかわいく、登場人物たちに癒されるようで、ずっと読んでいたいお話。
そして今作はホスピスが舞台のお話なので暗い雰囲気になってしまいそうだが、まったくそんなことはなくて、このお話は希望にあふれている。

特に、マドンナが「生と死は背中合わせ」と言っていたセリフが印象的。
人が誕生するとき、希望にあふれている。それと同様に、死を迎えるときも本来は希望にあふれながら、旅立つんじゃないかな。

この本を読むと、この意味も心にしみこんでくるのでぜひ読んでいただきたい。

印象に残った場面として、やはり主人公の雫さんがとても幸せそうにライオンの家で暮らしていることだ。
もちろん病気を患い、さらに余命宣告を受けた主人公は体力的にも精神的にも大きなダメージを受けてしまうだろう。
しかし、ライオンの家などでのいろんな人との交流を通して、幸せそうに生きている姿は読んでいてとてもまぶしい。病気を患っている方に失礼な言い方になってしまうかもしれないが、むしろうらやましくさえ思えてしまった。

未来はないのだから「今」を幸せに生きることが何よりも大事。

ほんとにそうだよな、と健康であったとしても思う。将来の不安とか、こうなりたいという未来の希望に思いを馳せるのもいいけど、それで今をないがしろにするのは本末転倒だよなあって。

でも、それを健康な人はなかなか気が付くことができない。毎日があわただしく、明日が来ることを当たり前と思ってしまっているから。

余命宣告されてはじめて未来の執着を捨て、今を目一杯生きて幸せに感じられるようになるなんて、少し皮肉だよな、と。
これは主人公の雫さんだけじゃなくて、みんなそうだよね。
失ったものは後になってから気づくというけど、これは世の常だし、どうしようもないことだと思う。

もちろん常に感謝の気持ちを持っているに越したことはないし、元気な時から「今」に目一杯幸せを感じることに越したことはない。
でも、それって難しいよ。
どんなに恋人のことを今大切にしていても、別れてしまった後はどんな小さなことでも必ず後悔する。

文章がまとまらなくなってきたけど、この本を読んで感じたのは、「私も今の一瞬を大切にしようと思いました。」とか、「普段の日常の幸せをかみしめようと思いました」とかそういう感想では失礼なんじゃないかなって。

生きていればつらいこともあるし後悔もあるけど、でも最期には希望が待っている。
そう思えば、旅立つときに「いい人生だったな」と思えるような、自分らしい日々が送れる人生に近づくよ。

私はそう解釈しました。

では、自分らしく明日の旅行には本屋巡りができるように、こっそり予定に組み込んできます。



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