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不安と共にあらんことを

お久しぶりです。
ヤキソバライターです。

今回は、1本の映画を紹介しながら最近考えていることをまとめておきたいと思います。

※本noteには病気を解説したり、内面の研究を促すような内容が含まれます。
希死念慮の強い方、頻繁な自傷行為がある方は症状悪化の恐れがありますので、これ以上読み進めずにブラウザを閉じてください。

なにもしていなかった学生時代

「ガタイいいからなんかスポーツやってたんでしょ」

よく言われる言葉

学生時代から、よく言われるこの質問。
実はスポーツなんてほとんど何もやったことがないんです。

小学生くらいのときに、スイミングスクールに通っていたのと、
姉が先に通っていた影響でローラースケートを習っていたくらいです。

たぶん生まれつきガタイがいいほうなんでしょう。

思えば学生時代はほとんどなにもしていませんでした。
中学1年のときに剣道部に入りましたが、夏休み明けから行かなくなりました。
高校のときは、好きな女の子が新しい部活を立ち上げたいからと言ったので頭数合わせで「競技かるた部」に入りました。
いわゆる百人一首ですね。
ちょうど当時「ちはやふる」がヒットしていました。

それ以外はまったくの帰宅部で日々をダラダラと過ごしていました。
音楽にも、スポーツにも、勉強にも興味がなかったのです。
中高一貫校で高校受験がなかったワタシは、中学3年のときは毎日のように遊び歩いていました。
当時学校帰りによく通っていたのは、北千住にあった「GAO(ガオ)」という名のゲーセン。

家とは反対方向にあったのですが、時間だけはあり余っていたのでその店に入り浸っていました。

友人は太鼓の達人にハマって、マイバチを作ったりして遊んでいました。
ワタシはリズムゲームが得意ではないので、眺めているだけでした。
特に中学生時代なんて月3,000円しかお小遣いがないので、やりたいゲームを好きなだけプレイすることなんてできません。

メダルゲームをやったり、UFOキャッチャーが得意だった友だちにやり方を教えてもらったり、頭文字Dで遊んだりが多かったです。

そんなある日、「GAO」に新しいゲーム機が設置されました。
「ジャイロゼッター」という筐体です。
だいたいムシキングの車バージョンを想像してもらえれば間違いないです。

ジャイロゼッター

100円を入れて、カードが1枚出てきます。
そして持っている車のカードを読み込むと、その車でまずはレースゲームをします。
それが終わるとハンドルを上に上げ、車が変形して戦うのです。
トランスフォーマーみたいですよね。

そのゲームにハマり、何回もプレイしました。
今ではそのカードたちもどこにいったか分からなくなってしまいましたが、いい思い出です。
ちなみに「GAO」はもうつぶれてしまい、風の噂で聞いたところによるとコンビニになったそうです。

不安と共に生きる

いま思えば、あのころは毎日がただ過ぎていくだけでなんとなく不安だったのだと思います。
子どものころは、大人になればその不安が消えるものだと思っていました。
けれど、実際のところは大学生になっても、就職しても、無職になってもその不安はつきまとってきます。
もしいま子どものころの自分と話せるなら、「26歳になったけど、きみが感じてる不安は消えないよ」と伝えてあげたいです。

はっきりと言葉にはできない不安。
それが双極性障害の影響によるものなのかそうでないのかワタシにはわかりません。
勉強したところによると、双極性障害になる人はもともと気分の浮き沈みが激しい人が多いらしいです。
振り返れば、ワタシも子どものころからそういったタイプでした。
というより、それが人間にとって普通だと思って生きてきました。

しかし主治医の先生からは、人よりも気分の波が激しすぎると言われました。
確かにほとんどの人は死にたい気持ちに心が支配されて何も考えられなくなることなんてないでしょうからね。

ワタシの場合、軽躁状態のときはいつもと同じ自分というか地続きである感じがするのです。
しかし、うつ状態のときというのは、頭の中にもやもやとした黒いお化けのようなものが現れて、自分に語りかけてくるようなイメージなのです。

「よう、久しぶり!
最近合わなかったけど、元気してる?
そろそろ死んじゃおうよ」

うつ状態の黒いお化け

これが始まると大変です。
他のことを考えているのに思考に入り込んで邪魔されるのです。
そういうときは、これはうつ状態のせいで脳が勝手に作り出している幻なんだと考えるようにしています。
そうしないと、脳が思い込んでいるのかそれとも自分が本当に死にたいと思っているのかわからなくなってくるからです。
画家のゴッホも双極性障害だったと言われています。
彼はそのストレスからか耳を切り落としてしまいました。
時代的に双極性障害がまだ発見される前のため、こういった「声」が実際に聴こえていると思ったのかもしれません。

長いときはこれが何か月も続きます。
きっかけは本当にまったくなくて、買い物帰りに自転車をこいでいるときもあれば、夜家で一人でいるときもあれば、友だちと遊んでいるときに起こることもあります。
言葉にするのが難しく、心配をかけてしまうかもとワタシは思ってしまうためなかなか相手に伝えられずにいます。
この感覚は精神疾患の当事者じゃないとなかなかわからない感覚かもしれませんね。

だって困りますよね、
いきなり友だちから「俺さ、実はいま死にたい気持ちで頭がいっぱいなんだよね」なんて言われても。
どう言葉を返してあげたらいいか難しすぎます。

そして双極性障害であることをカミングアウトするとよく言われるのが、
「そんな病気だなんて全然みえない」という言葉です。

そりゃあそうですよ。
体調悪くて、死にたい気持ちのときは家から出れないんですから。
万が一外出先でそういう気持ちになってしまったときは、なんとか相手にわからないよう必死に隠して振る舞っています。

24時間、365日そばにいればその変化にも気づけるかもしれません。
でもそれは難しいことです。
親も、友だちも、恋人も、主治医の先生ですら四六時中は一緒にいてくれないのです。

薬を飲んで安定しているとはいえ、今でもときどきそういった気持ちになります。
そんな日は目をつぶって意識レベルを低下させ、寝れなくても何も考えない状態にもっていくことで乗り切っています。
それでも、できることなら誰かに助けを求めたいです。
そばにいてほしいです。

「稲村ジェーン」な日々

昨年から続く、このつらい日々を救ってくれた映画があります。
サザンオールスターズの桑田佳祐さんが監督を務めた映画「稲村ジェーン」です。

この映画から「希望の轍」や「真夏の果実」といった名曲たちが生まれました。
公開されたのは、いまから34年前の1990年です。
映画の舞台とされているのは1965年、東京オリンピック翌年の神奈川県稲村ケ崎です。

主演は加勢大周や的場浩司、清水美砂、金山一彦といった美男美女です。
伝説の大波とそれを待つ若者たちを描いた素敵な映画です。
劇中の音楽たちがとても素晴らしく、夏が好きになること間違いなしです。

ただこの映画、ある特徴があります。
それは、ことごとく「事件」の起きない映画であるということです。
色々な伏線があるのですが、あえてそれが回収されておらず、いい意味でも悪い意味でもなにも起こりません。

桑田さんはおそらくこの映画で「なにもない青春」を描いたんだと思います。
考えてみれば、ワタシも含めてほとんどの人にはドラマチックな青春など
起こりません。
この映画はそんなワタシたちを救ってくれる映画なんです。

高校を卒業するとき、大学生になれば、楽しい青春がやって来ると思っていました。
しかし、1年生の秋が過ぎ、冬が来ても恋人も友だちもできず、なんとなく不安なまま時間だけが過ぎていました。

この映画でも主人公ヒロシは、知り合いから任された骨董品屋とサーフィン以外何もしていません。
口癖は「関係ねえよ」や「俺たち、他人だからよ」など周りに興味がないようなふりをしています。

きっと若者はいつの時代も不安なんです。
映画の舞台となった1965年も、公開された1990年も、そして2024年も。
この映画を観ると、その不安を消すのではなく一緒に生きていっていいんだと思えるようになります。

高校あるいは大学を卒業して、新卒で入った会社で定年まで勤めあげる、そんな人生を歩めている人が昔は多かったと言われています。
しかし、本当にそうでしょうか。
実際にはそんなレールに乗らず、転職を繰り返したり、無職でふらふらとしている日々がある人のほうが今も昔も多数派なのではないかと思います。

学生でもなく、夏休みでもなく、無職になったいまはまさしく「稲村ジェーンな日々」と言えるでしょう。

無職になると、いろんな人から質問されます。
「毎日、何してるの?」
「暇じゃないの?」

まったく暇じゃありません。
1日のうちほとんどの時間は不安と戦っていますから笑

そして世間の人たちの言葉に無意識なバイアスがかかっているのを発見するのです。
「お仕事は何をされてるんですか?」
→人はみな働いているというバイアス
「休日は何をされてるんですか?」
→仕事があるのが平日と、それ以外が休日というバイアス
「今日はお休みですか?」(平日の日中、美容室で)
→月~金の日中は仕事をしているものだというバイアス

いいじゃないですか、稲村ジェーンな日々で。
なにもしなくても時間は過ぎます。
学生時代、楽しみにしてた修学旅行も、来てみればあっという間に終わってしまいました。
最近、歯医者さんに通って親知らずを1本ずつ抜いています。
最初は怖かった抜歯もそのときが来れば、いつの間にか終わっているんです。

ワタシの好きななぞなぞがあります。

生まれる前の日から、死ぬ前の日まであるものってなんだ?

答えは「明日」

ブログのタイトルは、スター・ウォーズのセリフから取っています。

May the Force be with you.

フォースと共にあれ(あらんことを)

不安から逃げられないのであれば、共に生きていくしかありません。
みなさんも不安と共にあらんことを。


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ヤキソバライター
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